ドラゴンボールのバルーンPhoto:Eugene Gologursky/gettyimages

「ドラゴンボールのテーマパークは作るべきではない!」――『週刊少年ジャンプ』伝説の編集長・鳥嶋和彦さんが吠えた。背景にあるのは、「ジャンプ作品は日本の子どもが育てた」という考えだ。読者を置き去りにしたビジネスの行方、原作を軽視する映像化の問題、そして出版社の責任とは。(ライター 池田鉄平、ダイヤモンド・ライフ編集部)

ドラゴンボールのテーマパーク
作るべきじゃない!

――中東サウジアラビアの政府系会社と、東映アニメーションが「ドラゴンボール」のテーマパークを開業する予定です。鳥嶋さんは関わっているのでしょうか?

 いや、僕は一切かかわっていません。僕がまだ集英社にいたら、あの企画は絶対にOKしていませんよ。理由はシンプル、日本の子どもが行けない場所だからです。

――外国の子どもは行けるのでは?

 そうかもしれない。でも、政情も不安定な地域ですし、日本の子たちはまず行けないでしょ。

 漫画をつくるのは出版社と作家ですが、育てるのは読者です。読者が応援し、買ってくれたからこそ成立しているわけで、目先の金儲けだけで動くのは本質を見失っている。

――でも、ディズニーランドのように老若男女が楽しめるテーマパークなら問題ないのでは?

 日本のディズニーランドなら、日本の子どもは行けますね。でも、サウジアラビアは違うでしょ?お金がある大人向けの話になってしまっている。

『週刊少年ジャンプ』は、日本の子どもたちが支えてきた文化です。世界中で、子どもが自分のお金で買う雑誌なんて、日本の漫画雑誌だけなんですよ。だからこそ、日本の子どもたちが育ててきた文化を無視するようなことは、僕はすべきじゃないと思っている。