衝撃の特集号
『週刊ダイヤモンド』の最新号(11月5日号)は、「野村争奪戦で幕が開く! 金融大波乱」という衝撃的な特集タイトルを掲げた。
詳しくは本を手に取ってお読みいただきたいが、リーマンブラザーズの欧州部門を抱え込んだ重荷もあって、業績も株価も低迷する野村證券は、日本のメガバンク3行にとって垂涎の買収対象であり、銀行によって温度差はあるものの、買収について具体的な検討とシミュレーションが行なわれているという趣旨の記事が載っている。
野村證券にとって「グローバル」は、見果てぬ夢であると同時に、分厚い壁であり続けている。かつても海外への投資事業で、当初儲かって後で大損という、あたかも「カモにされたギャンブラー」のような展開で苦境に陥ったことがあったが、今回も、金融危機におけるリーマンブラザーズの米国以外の部門を買収した大勝負が裏目に出た。
筆者は、野村證券が、海外進出をするにあたって、外人ないしは現地のビジネススタイルに、いわば敬意を払いすぎて(あるいは、もともとコンプレックスを持っていて)失敗していると思う。
もともと、情報の非対称性こそが収益の源で、属人的な側面が大きい投資銀行ビジネスで、すでにある証券会社やファンドを買収したり、有力な投資銀行プレイヤーに進出先での経営を任せたり、といった「資本で人間をコントロールする」、あえていえば「楽な方法」が機能するはずがない。
証券ビジネスに関わっていながら、これが本当に上手く行くと思っているのでは、付ける薬がない。