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こだわり蕎麦屋めぐり
【第10回】 2011年11月4日
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鎌 富志治 [夢ハコンサルティング代表]

浦和「庵 浮雨」――十割蕎麦をクリームソースで。フレンチの技術が引き出した蕎麦の美味さに感動。

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かつてこんな蕎麦屋はどこにもなかっただろう。蕎麦は香りの強い、本格的な十割蕎麦。その蕎麦をクリームソースにつけて食べる「カレークリーム鴨せいろ」は蕎麦の美味さをソースが引き立てる。他にも蕎麦の白レバのつけ汁の「肝せいろ」、「花巻クリーム蕎麦」などフレンチと蕎麦のマリアージュに度肝を抜かれる。フレンチと蕎麦料理の新しい可能性を拓いた「庵 浮雨」で、その未体験の味わいに酔いしれよう。

浦和駅からほど近いレトロな飲食街に
これまで見たこともない蕎麦を出す店がある

 JR浦和駅からデパートの裏側に入って3分くらい歩くと、少しレトロな飲食街がある。周辺の繁華街から取り残されたような雰囲気の通りには、とても手打ち蕎麦屋があると思えないが、実はここに他では絶対に味わえない蕎麦を出す店がある。

浦和駅からほんの数分、少し時代から遅れたようなレトロな飲食街にある「庵 浮雨」。店名の由来はフランス語の“un peu”(「ちょっとだけ」の意味)。

 2009年9月開店の「庵 浮雨(あん ぷーうー)」だ。店内にはカウンターが6席、テーブルが2席あり、ビストロのような気軽な雰囲気だ。

 亭主は熊谷春匡さん。そのいでたちは帽子を被り、ネクタイにロングエプロン。昔風に言えば歌舞伎者のような格好で客を迎える。

 この店ほど開店して、話題を集めた蕎麦屋はなかったかもしれない。その理由のひとつは亭主の修業先があの神田須田町「眠庵」だったからだ。熊谷さんは客から“はるちゃん”と呼ばれ、親しまれ、4年間、超人気店の忙しさを下支えしてきた。

店は存外に狭い、ビストロの雰囲気だ。亭主が客の顔を見て、手の掛かる蕎麦料理でもてなそうとするレイアウトになっている。

 眠庵の亭主は、若手蕎麦屋の中では兄貴分的な存在で、現在の人気店の蕎麦屋の亭主たちが彼の元に集まってきていた。

 弟子の熊谷さんも、そのグループに混じって、蕎麦について学んでいたようだから、そんな恵まれた環境で、蕎麦屋になる準備を自然に身に付けたいったのだろう。

 熊谷さんが屋号に選んだ「庵 浮雨」。その由来は、フランス語の“un peu”(「ちょっとだけ」の意味)だそうだ。これは、フレンチでの料理言葉としても使われる言葉で、「眠庵」が志向してきた日本人の懐古趣味性を刺激するイメージとはまるで違ったものだった。

 その屋号の通りにというべきか、熊谷さんはこれまでに聞いたことも、見たことも無い蕎麦をフレンチの技術を駆使して、次々に創作してきた。その技術は、熊谷さんが「眠庵」に入る前、10年余りもの修行を積んで身につけたもので、「眠庵」の頃から熊谷さんを知る客でさえ、その料理に触れるまで、熊谷さんがフレンチの修行をしていたことは知らなかったという。

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鎌 富志治 [夢ハコンサルティング代表]

大手広告代理店で営業局長やプロモーション局長を歴任後、東京・神田須田町で手打ち蕎麦屋「夢八」を開店する(現在は閉店)。現在は企業経営コンサルタント、蕎麦コンサルタントとして活躍中。著書に『こだわり蕎麦屋の始め方』(ダイヤモンド社)がある。
◎ブログ:蕎麦の散歩道


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酒と料理と極上の蕎麦。思わず誰かを連れて行きたくなる、五つ星のもてなしが楽しめる手打ち蕎麦屋。蕎麦が美味いのは当たり前、さらにはそこでしか味わえない料理ともてなしがある店ばかりを厳選。付き合いや接待に良し、大事な人と大事な日に行くも良し。店主がこだわり抜いた極上店の魅力とその楽しみ方を紹介する。

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