
コメダ珈琲店が夏の定番企画「カリー祭り」を開催している。しかし、なぜ「カレー」ではなく「カリー」なのか。その理由を考察すると、コメダが外食産業に与える影響も見えてきた。(イトモス研究所所長 小倉健一)
「カレー」ではなく「カリー」
コメダ珈琲店を展開するコメダホールディングスの2月期決算は、売上収益470億5700万円、営業利益88億2000万円を記録し、好調だ。原材料価格やエネルギーコストの高騰、人件費の上昇という逆風を、客単価の上昇、デザートセットの価格見直し、店舗改装による顧客体験価値の向上で乗り越えた形である。新規出店もコメダ珈琲店(以下、コメダ)だけで51店舗に上った。
そのコメダが5月29日から「カリー祭り」を開催している。2年ぶりとなる夏の定番企画で、今年は本格的な「インド」を前面に押し出したメニュー構成が特徴である。「タンドリーチキンホットサンド」「チーズカリーとナン」「チャイ氷」「ラッシー」「マンゴーラッシー」といった新作に加え、好評だった「カツカリーパン」も継続して提供されている。
筆者も早速、コメダのドン・キホーテ新宿店でこの「カリー祭り」を体験した。土地柄か、周囲の客はほぼ外国人であった。まず目を引いたのは、コーヒーカップになみなみと注がれたカリーソースである。コメダらしい遊び心なのか、あるいは経費削減を狙った真剣な選択なのか、その意図を測りかねる独特の雰囲気であった。
しかし、一口味わうと印象は一変する。
カリーソースは、いわゆる喫茶店のカレーとは一線を画す、深みと奥行きのある本格的なスパイシーさであった。ナンも、喫茶店で提供されるものとしては驚くほどしっかりとした食感で、カリーソースとの絡みも絶妙である。