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香山リカの「ほどほど論」のススメ
【第5回】 2011年11月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

計画したことが達成されるだけの人生を
はたして「豊かな人生」と言えるだろうか

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現代は計画を立ててそれを遂行し、
確実に達成することが求められている

 今回は、なぜ中間の状態にいることが良いのかということに触れたいと思います。

 私の診察室を訪ねてくるビジネスパーソンに、休日をどう過ごしていたかを聞く機会があります。

 東京映画祭、フェスティバル東京(演劇の祭典)、英会話――。最近であればそんな話題が会話にのぼります。多くの人は、休みの日に何かしら計画を立ててアクティブに行動しています。

 もちろん、そういうところで楽しむのは悪いことではありません。場合によっては気分転換にもなるとは思います。

 ただし、ゆっくり休むことが必要な人たちには、必ずしもお勧めできません。

 平日は忙しく働いているので、せめて土日ぐらいは家でゆっくり休んでくださいとお話ししても、その人たちはこんな理由から行動せずにはいられないのです。

 「時間を無駄にしている」「人生を楽しんでいない」「自分を向上させていない」

 心や体のバランスを崩して休む必要に迫られているにもかかわらず、休むことに耐えられません。休みの日でも何か予定を入れなければ、人生を無駄に生きているという強迫観念に駆られているかのようです。

 なかには「何もしなかった」という人もいます。

 しかし、どういうわけかその人は後ろめたそうに語るのです。私に「それはとてもいいことです。体が休まりましたね」と言われてはじめて、何もせずに休んでもいいのだと認識するほどです。

 現代は、自ら能動的に計画を立てて生きるのがよいこと、という風潮があります。

 それはそれでいいことだと思います。でも、計画したからには必ずそれを遂行する、うまくいって当たり前、何もしないことや計画しないで時間が過ぎていくことは、すべて無駄ととらえてしまうのは行き過ぎではないでしょうか。

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香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

1960年北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。豊富な臨床経験を生かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。著書に『しがみつかない生き方』『親子という病』など多数。


香山リカの「ほどほど論」のススメ

好評連載「香山リカの『こころの復興』で大切なこと」が終了し、今回からテーマも一新して再開します。取り上げるのは、社会や人の考えに蔓延している「白黒」つけたがる二者択一思考です。デジタルは「0」か「1」ですが、人が営む社会の問題は、「白黒」つけにくい問題が多いはずです。しかし、いまの日本では何事も白黒つけたがる発想が散見されるのではないでしょうか。このような現象に精神科医の香山リカさんが問題提起をします。名づけて「ほどほど」論。

「香山リカの「ほどほど論」のススメ」

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