視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。

武田信玄は組織マネジメントの達人だった

 戦国武将・武田信玄による「人は城、人は石垣、人は堀」という言葉は有名だろう。どんなに立派な城を築き、石垣や堀で守りを固めたつもりでも、それらは人がいなければ役に立たない、という意味だ。

『TIME TALENT ENERGY―組織の生産性を最大化するマネジメント』
マイケル・マンキンス/エリック・ガートン 著
石川 順也/西脇 文彦/堀之内 順至 監訳・解説
プレジデント社
320p 2400円(税別)

 実は信玄は、家臣を適材適所に配置し、それぞれに長所を発揮させるといった「組織マネジメント」の達人だったようだ。そのゆえ家臣との間に強い信頼関係を築き、戦国最強と言われた軍団を率いることができた。

 本書『TIME TALENT ENERGY』では、武田信玄のように、組織として人を最大限活用するのに考慮すべき3つの要素に焦点を当てる。「TIME(時間)」「TALENT(人材)」「ENERGY(意欲)」だ。そしてそれらを最適化するマネジメントについて詳細に論じている。

 著者のマイケル・マンキンス氏は、米国ボストンを本拠とするコンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニーのサンフランシスコオフィスに勤務するパートナーであり、南北アメリカ大陸の組織プラクティスのリーダー。25年以上にわたり、企業が長期的に成長するための組織戦略の策定に携わる。

 もう一人の著者のエリック・ガードン氏は、ベイン・アンド・カンパニーのシカゴオフィスパートナーで、グローバルの組織プラクティスのリーダー。約20年間、組織デザインや企業統合、コスト削減等のプロジェクトを手がけている。

 本書では、組織全体の生産性を上げるための「人」の活用法を客観的に議論している。個人が能力を発揮し、生産性を高める方法を扱った文献は珍しくない。しかし、組織全体の生産力を、さまざまな調査データを示しながら説得力のある議論を展開する本書は貴重と言える。