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「引きこもり」するオトナたち

働けない若者の約8割を働く若者に変えた!?
少年院の元教官が教えるウワサの「静岡方式」とは

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第86回】

引きこもりたちの就労を無償で支援!
少年院の元教官が運営するNPO法人

『静岡方式で行こう!』(津富宏、NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡)

 「居場所を持たない」「スタッフは皆、無償ボランティア」というユニークな「引きこもり」等の支援活動で注目されているNPO法人がある。それが、「青少年就労支援ネットワーク静岡」だ。先月末、同団体と理事長の津富宏氏は、『静岡方式で行こう!』(クリエイツかもがわ)を出版した。

 同書の取材・執筆を担当したのは、長年「引きこもり」支援活動に関わり続けてきた、コピーライターの永冨奈津恵さん。そんな彼女が実践してきた支援ノウハウも、同書には詰まっている。

 この「静岡方式」の最大の特色は、地域で引きこもる人たちを支援するサポーターが皆、それぞれの分野で地道に働いている「専門家」である一方で、そうした職業上の知識やスキルを活かして無償でボランティア貢献する「プロボノ」という新しい活動方法を取り入れていることだ。

 なかでも、私が同書を読んで興味深いと思ったのは、同ネットワークが支援の拠点となる「場」を持たずに、直接、職場を紹介し、実際の職場で支援していること。そして、利用者に対して、実費以外の支援サービスを無償で提供している点だ。

 その結果、同ネットワークが2002年に発足以来、9年間に支援した利用者300人余りのうち、その8割に「就労中」「就活中」「就学中」「就労体験中」のいずれかの“変化”が起きているというから驚きである。

 支援者である「サポーター」のボランティア登録者は現在、50人余り。主な活動内容は年2回、半年間限定のセミナーを実施することだという。

 受け入れる対象者は「40歳未満で、現在就職しておらず、すべてのプログラムに参加できる人」。条件は「必ず、本人が申し込み、“働きたい”という意思表示をすること」としているが、実際の参加者には、「引きこもり」「不登校」「身体障害」「知的障害」「発達障害」「精神的疾患」などの困難な問題を抱えている若者たちも多く含まれている。

 しかも、セミナーの費用は、当事者も家族も、すべて無料。行政からの若干の補助と、「サポーター」のボランティアによって支えられているそうだ。

 津富氏の前職は、意外なことに、少年院の教官。2002年に、現在の本職である静岡県立大学国際関係学部准教授に就任した。

 津富氏が、こうした就労支援の仕組みをつくるにあたって、参考にしたのは、地域で非行少年の面倒を見る「保護司制度」。そんな少年院時代のノウハウを活かし、就労支援を一部の専門家のものとするのではなく、地域の人々がみんなで支えていく仕組みを作り上げたという。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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