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吉田恒のデータが語る為替の法則

「ユーロ本位制」のリスク回避は終わった!
イタリア・ショックの動揺も一時的に終わる

吉田 恒
【第165回】 2011年11月14日
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 先週の「ギリシャ・ショック」に続いて、欧州では今週、イタリアの10年もの国債の利回りが「危険水域」とされる7%を一時突破したことで、世界の金融市場に動揺が広がる「イタリア・ショック」が起きました。

 これで、金融市場にリスク回避の動きが一段と広がるのでしょうか?

 ハズレとなるかもしれませんが、私はそうはならず、先週の「ギリシャ・ショック」のように、一時的なものにとどまる可能性が高いと思っています(「ユーロ反発の影の主役は米国株とECB。欧州問題に伴うリスク回避は峠を越した!」を参照)。

「イタリア・ショック」で
ユーロが急落する可能性は低い

 冒頭のように考えている1つ目の理由は、夏までの状況とは異なり、米国の景気後退懸念がほとんど消えたことです。米国株は上昇基調となっています。

 「資料1」は米国株とユーロの関係を見たものですが、一定の相関関係があります。この関係からすると、最近のユーロはむしろ下がり過ぎ気味のようにも見えなくありません。

 米国の景気回復見通しが崩れず、米国株が大きく崩れない中、「イタリア・ショック」でユーロがどんどん下がっていく可能性は低いと、今のところ、私は見ています。

資料1

 結果的に、先週の「ギリシャ・ショック」が一時的なものにとどまったのも、そういった構図が基本だと思います。

 世界的な景気不安が後退し、米国株が上昇基調であるようにリスク選好がメイントレンドとなった現状では、予想外の悪材料が出ても、リスク回避の動きは一時的なものになるということです。

 先週の「ギリシャ・ショック」でも、NYダウの反落は2営業日、5%弱にとどまりました。そして、ユーロの反落は3営業日、3%強にとどまりました。

 これを一時的なリスク回避の目安とすれば、今回の「イタリア・ショック」でも、終値ベースで見れば、今週のNYダウは1万1500ドルを大きく割りこむことなく、ユーロは1.34ドルを大きく割れず、反落が一巡する見通しとなるのではないでしょうか?

現在のマーケットは
「ユーロ本位制」となっている!?

 前述のように、米国株とユーロの関係について、「米国株→ユーロ」といった順番が基本になっていると私は考えています。

 実際のところ、上の「資料1」を見ると、8月からNYダウが急落し、その約1カ月後からユーロが急落しているように見えます。

 しかし、一般的には、欧州の債務問題が世界の金融市場を一喜一憂させ、「ユーロ→米国株」の順番との理解が多数派なのではないでしょうか?

 そこで、その因果関係について、少し検証してみましょう。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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