リクルートが提供する「スタディサプリ」は受験生の心強い味方。ところが最近では、教師や社会人の利用者までもが急増しているという。いったい何故なのか(リクルートのHPより)

所得や地域による格差をなくす
全く違う「受験ビジネス」の登場

 リクルート・マーケティング・パートナーズの社長、山口文洋氏は、2011年に「スタディサプリ」の原型である「受験サプリ」のビジネスモデルを考案した。当時は「iPhone」やYouTubeが浸透してきたころで、若者のスマホ所有率も高くなっていた。

 当時の予備校業界は、老舗の河合塾、駿台、代々木ゼミナール(2014年に大幅縮小:高宮学園)が伸び悩む中、東進ハイスクール(ナガセ)が高い利益率を上げていた。老舗3社と東進とは、そもそもコスト構造が違っていた。

 老舗3社は、全国に校舎を展開し、講師を抱え、マイクで授業を行っていた。これに対して東進は、人気講師はすべて東京・吉祥寺におり、衛星やビデオで授業を発信する。これによって人件費を大幅に抑え、授業の品質を均一化していたのである。

 こうした東進のやり方を見て、山口氏はまったく違うビジネスモデルを考えていた。人件費という固定費を抑えるだけでなく、校舎という大きな固定費をなくした“学習塾” を考えたのである。

 当時、小学校1年生から高校3年生までの生徒は、日本全国に約1200万人いたが、その中で塾に通えていたのは半数であった。残りの半数の中には、私立学校などに通っていて十分な補習が受けられる子どももいたが、経済的理由で塾に通えない層、地方在住のために地理的に塾に通えない層、そして親から放任され、塾とは無縁な層も多く含まれていた。
 
 すなわちスタディサプリは、「所得や地域による教育格差をなくす」という社会的使命が、起業の契機となったのである。

BtoCから、BtoBtoCへ
学校から思わぬ引き合いが

 リクルートは2011年12月に、受験情報を提供する受験ポータルサイトを通じて、全国の大学入試の過去問を無料で読み放題とする事業を開始した。これは、大きな投資も研究開発も必要とせず、社内で承認されやすかった。