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田中均の「世界を見る眼」

野田政権にも継承される“脱官僚”思考
日本は諸外国に「政と官の戦略的な関係」を学ぶべき

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第3回】 2011年11月16日
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「脱官僚」が招いた日本の戦略機能低下
野田政権でも欠落は十分是正されていない

 連載第1回は世界の変動、第2回は日本の戦略の基本をどう考えるべきか概観したが、今回は戦略を形成する日本の体制について考えることとしたい。

 民主党政権となって2年を超えるが、鳩山、菅という二代の政権は政権交代を実現した国民の期待に応えることができなかったというのが、大方の評価であろう。期待外れの最大の要因は、政権の政策実行能力が十分でなかったことだと思う。

 民主党内の親小沢、反小沢の政争やねじれ国会が、政府の政策実現能力を損ねたことは事実であろうが、それ以前に、民主党政権は政策を実現する戦略を持たなかった。むしろ、戦略策定機能がなかったと言ったほうが良いのかもしれない。

 たとえば、鳩山政権崩壊の原因となった沖縄米軍普天間基地を巡る問題でも「最低でも県外」という声明を実現していくための戦略は、全くといってよいほどなかった。

 常識的に考えれば、総理大臣の声明を実現するために、日本の安全保障政策との関係、沖縄との関係、米国との関係などを考えた綿密な戦略が練られ、米国との交渉協議を含め、政府として具体的な手だてが講じられたはずである。

 このような手だてが講じられた痕跡がないのは、国家の統治機能の欠陥としか言いようがない。このような欠陥は菅政権でも引き継がれ、野田政権でも十分欠陥が是正されたとは言い難い。

 この欠陥は、民主党政権が旗頭とする「脱官僚」「官僚依存からの脱却」の考え方に起因している。「脱官僚」は「政治家だけで決める」「官僚の示す政策ではなく政治家が案出する政策」と解され、本来政策策定や政策実現のための戦略策定に専門的知見を提供すべき官僚は阻害されてしまった。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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