10月14日にマイケル・ウッドフォード前々社長が解任されてから1ヵ月が経った。M&Aに関する不透明なカネの流れは、バブル期に抱えた巨額損失を隠すためであったと、徐々にその真相が明らかになってきた。オリンパスは今後、再建できるのか。そして、その陣頭指揮はだれがとるのか。元取締役専務執行役員である宮田耕治氏は、ウッドフォード氏の復帰しかないとし、インターネットで賛同者を募り始めた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 片田江康男)
――巨額損失隠し事件が進んでいた2003年以降、ご自身も取締役だった。善管注意義務違反として責任を追及される可能性もある。
私は1995年から2006年まで11年間、オリンパスの取締役として勤務していました。当時の記憶をたどってみても、今回の巨額損失隠しに関わるような決定事項があったとはまったく知りませんでした。こんなひどいことが行われていたなんて、まったく気づきませんでした。
ですが、取締役であった間に行われた会社の重要決定について、全件、連帯責任があるのは当然です。今はまだないですが、第3者委員会や東京地検などから呼び出しがあれば、すぐに出向くつもりです。
思い出してみると、あの頃、取締役全員が新規事業の立ち上げという課題を持っていました。内視鏡やデジタルカメラなどの基幹事業は成熟していたからです。
ところが、社内の技術開発には時間がかかるし、たとえ技術開発をして何か得られたとしても事業として成功するかわからない。そこで、M&Aや有力なベンチャー企業へ投資をしているファンドに対して出資するという選択肢が生まれてきた。この選択肢を新規事業発掘の方法として取締役会で決めたことは、いまでもはっきりと覚えています。
――なぜオリンパス・グラスルーツ・ドットコム(オリンパスの再生に向けて、社員が立ち上がるサイト、http://www.olympusgrassroots.com)を開設したのですか。
ウッドフォード氏が社長を解任されてから、私は現役社員に話を聞く機会がありました。まさにみんながショック状態。社員は混乱していて、正確な情報を知らないんです。思考停止ですよ。
社員が真実を知らないまま、ウッドフォード氏に対する誤った理解のままではいけないと思いました。
ゆくゆくは現社長の高山氏が一連の混乱の責任をとって辞任し、新たな社長は残った役員の中から選ばれ、それで再出発となるのでしょう。ですが、残った役員はまったく正当性がない人たちですよ。