でも、それだけではない。それと同時に、私は毎朝、神棚に祈っていたのである。

 私は経営者として、「原点に戻る」ことを常に忘れないようにしている。「初心に戻る」ということだ。

 なぜこの事業を始めたのか、それを忘れないために「ご先祖さま」を大事にしている。

 実は「ご先祖さまを敬う」ことには、経営者としての役割を初期化してくれる効果がある。何のためにこの仕事をしているのか、何のためにこの会社が生れたのか。私自身、迷ったときには必ず神棚に手を合わせ、自問自答する。

 これこそ、経営者にとっての初期化にほかならない。ご先祖さまに「この考えは間違っていませんか?」と問うからこそ、私自身、これまで道を大きく誤ることなく、歩んでこられたのだと思う。

 経営判断に迷ったとき、神棚に手を合わせ、見えない存在の前で謙虚に自問自答することで、自分を初期化し、正しい選択をする助けになるのである。

先人に対する責任感が
仕事に適度な緊張感をもたらす

 また、ご先祖さま=先人に対する責任感は、オフィスの神棚の前に立つ人に適度なプレッシャーも与えてくれる。

 私自身、「自分の代で会社の評判を落とすことができない」と思って経営してきたが、これが事業を進めていく上での最大のプレッシャーになっていた。実は、いまもその思いを抱きつつ、経営を続けている。

 プレッシャーというとマイナスのイメージを持つかもしれないが、決して悪いものではない。よい意味でエネルギーを与えてくれるものでもある。