“生き証人”の証言から学ぶ防災の心得

 都司氏の話から私が感じ取った、今後の防災を考えるうえでで検証すべき点は、主に以下の3つである。

1. 津波の構造的な理解を進める

 都司氏の解説を聞くと、津波を構造的に捉えることができる。たとえば、「押し波」と「引き波」の違い、それぞれの特徴、「引き波」の破壊力がなぜ強いのか、などである。

 このように、津波を単に「高さ〇○メートルだから避難しよう」と捉えるのではなく、このように構造的に捉えることが大切だ。それができれば、津波の恐ろしさを深く心得る人が増えてくる。

 そのような理解に至った人の中から、地震直後に率先して避難する者が現れる。避難率は上がり、助かる人の数は増える。この流れを踏まえつつ、地域の防災力を高めていきたい。

 私が被災地を歩くと、津波を「怖い」とか「波のスピードが早い」と感覚的に捉える人が多いことに気がつく。それは被災者や遺族にも多い。震災前から、三陸地方などの津波常襲地帯は「避難率が低い」と指摘されてきたが、その一因は津波の実態を理解していないことにあるのかもしれない。改めて津波の実態の構造的な理解を進めたい。

2. 津波が「破壊したもの」から実態に迫る

 都司氏の話からは、家や建物などのがれき、防潮堤、さらに遺体の状況から津波の威力を探ろうとすることが、いかに大切であるかがわかる。多くの人は、都司氏のように現地で調査をすることはできないが、テレビや新聞、あるいはインターネットなどを通して被災地で破壊された建物や堤防、防潮堤などを見て、その実態を知ることはできる。