「カップヌードル」の発明に見るアップル、インテルとの共通項写真はイメージです

視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。

世界的な産業を創出したイノベーター、安藤百福

 アップル共同創業者スティーブ・ジョブズによる2005年のスタンフォード大学卒業式スピーチは有名だが、その中のある言葉がとくに印象に残っている。「点と点をつなげ」である。

「今やっていること(点)が将来何に役立つかはわからない。できるのは後から(その点を)つなぎ合わせることだけだ。だから、人生のどこかでつながることを信じて前へ進みなさい」という意味だ。

 ジョブズは大学を中退した後も、もぐりの学生として興味のおもむくままに授業を受けていた。その中に、カリグラフィーの講義があった。文字を美しく見せる技法を学ぶ授業だ。

 そこで身につけたスキルが、すぐに何かの役に立ったわけではなかった。だが、10年後、それを思い出したのだという。現在のMacの原型であるマッキントッシュのデザインに「美しいフォント」を取り入れた。それが同機種のヒットの要因の一つになる。カリグラフィーの授業という「点」が、マッキントッシュのデザインという「点」につながったのだ。

 この「点と点をつなげ」の精神は、実はアップル創業から約20年前の、日本人によるある偉大な発明にも存在していた。安藤百福氏(1910-2007)によるインスタントラーメンの発明である。