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東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

足立区――区民でさえ信じ込んでいる「飛び抜けた治安の悪さ」は本当なのか?

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長],小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員],一般社団法人東京23区研究所
【第19回】 2011年11月30日
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 「割れ窓理論」なるものをご存知だろうか。割れたままの窓ガラスを放置していると、人々のモラルが荒廃し、治安の悪化を招くという考えである。

 犯罪多発都市と言われたニューヨークは、この理論に基づく治安対策を行ない、大きな成果を挙げた。

 足立区は、路上喫煙やごみのポイ捨て禁止、放置自転車の取り締まり、清掃活動の推進、花いっぱい運動の展開など、犯罪を生まない環境づくりに区を挙げて取り組んでいる。名づけて「ビューティフル・ウィンドウズ運動」。4種類のプロモーションCMを作るなど、力の込めようは半端ではない。

「わがまち」は本当に治安が悪い?
イメージの悪さは非侵入窃盗が原因

 2006年以降、4年連続で犯罪発生数(刑法犯認知件数)ワースト1の足立区。犯罪発生と相関が強い昼間人口当たりの認知件数も第1位である。もっとも、同じように犯罪発生との相関関係が認められる面積当たりでは、順位が15位に下がる。果たして足立区は犯罪が多いのか。そこには議論の余地もありそうだ。

 とはいえ、犯罪リスクの高さが区民の共通認識となっていることに、間違いはない。2009年に区が実施した世論調査によると、足立区のイメージは、「治安が悪い街」が「公園が多い街」と並んで同率の首位。30代以下の若い世代では、圧倒的な1位を占めた。

 犯罪発生の実態をもう少し詳しく見てみよう。昼間人口当たりの粗暴犯発生数は8位、風俗犯9位、知能犯15位。夜間人口当たりの侵入窃盗発生数9位。決して少ないとはいえないが、実は特に多いというわけでもない。

 足立区で多いのは、非侵入窃盗。発生数は2位以下を頭1つ超えている。昼間人口当たりで見ても23区最多だ。非侵入窃盗とは、万引き、車上狙い、ひったくり、自転車・バイク盗などを指す。街頭犯罪の多さが「治安が悪い」という不安を生む根底にある。

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池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長]

一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。

小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員]

一般社団法人東京23区研究所上席研究員。1978年より財団法人・東京都政調査会研究員、都市問題・自治体政策の研究に従事。87年より中央大学社会科学研究所・客員研究員、多摩地区の地域開発研究に従事。その後、フリーを経て現職。

一般社団法人東京23区研究所

東京23区をさまざまな角度から調査・分析している。マーケティングレポートなどを発行。HPはこちら


東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

東日本大震災を機に、自分が住む地域の安全性を気にする人が急増している。世間一般に「安全」と言われている街でも、そうとは限らない場合があるし、「リスクが高い」と言われていても、本当は災害への耐久力が強い街もある。実際のところ、あなたが住む街の安心・安全度はどうなっているのか。この連載では、地震、犯罪、火事、交通事故といった現代社会の4大災難を中心に、東京23区の「防災力」をあらゆる角度から分析する。豊富なデータを基に、「安心・安全な街」の条件を考えてみよう。

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