天下り先確保のためか
憶測も流れる

 新たな規制強化を「なるべく早く成立させたい」というのが金融庁の本音だが、業者に対して継続的なストレステストを行い、その結果で対応を検討するという“余地”は残している。

 それにしても、なぜ今回の規制の対象に金融取は含まれないのか。金融庁監督下にある金融取は、メガバンクや大手証券会社、有力地銀などが大株主となっており、「有力な金融機関が後ろ盾となっているため、金融取の方が低リスク」というのがその根拠。しかし、「だからといって店頭だけを規制強化するのはおかしい」と今井議員は疑問を投げかける。

 規制に差をつけることに対して、個人投資家の間では、「金融庁の天下りポスト確保のために優遇されているのではないか」といった憶測も流れている。あるネット証券幹部も「ちゃんと説明をしてもらわないと、そういう風に見られても仕方がない」と言う。

 確かに、金融取の現在の役員構成を見ると、取締役9名の大半はメガバンクや証券会社出身者だが、太田省三社長は元大蔵省印刷局長だ。3名いる監査役の中にはやはり旧大蔵省出身の墳崎敏之氏の名前もある。

 では、規制が成立すると、投資家にはどのような影響が生じるのか。

 店頭取引業者の大手、GMOクリック証券の山本樹・常務取締役経営企画部長は「取引高が1割くらい減るのではないか」と心配する。実際、GMOでは先の50倍規制が決まった直後の3ヵ月間で3割の減少を経験した。

 このとき、取引量は減ったものの顧客数は減らなかったことから、その差分は他の投資に回っていることが推測され、今回も他の高レバレッジ金融商品に顧客が流れるのではないかと見ている。具体的にはビットコインなどの仮想通貨や、FXの一種で相場を2択するバイナリーオプション、株価指数や株式に投資するCFD取引などだ。

 また、“優遇”されているかのように見える取引所取引だが、投資家の間での評判は店頭取引の方がはるかに高い。

 店頭・取引所ともに取引所を開いているGMOでは、取引所の方が手数料が高いため、店頭に人気が集まっている。1ヵ月当たりの取引額を比較すると、店頭が70~90兆円程度であるのに対し、取引所はその100分の1くらいしかない。他の業者も同じようなもので、「取引所はうまくいっていない」(FX専門家)という声が漏れる。

 不人気の理由は、手数料の高さとFXブームに乗り遅れたためだろう。金融取は1989年に金融先物取引をする場として設立され、主な利用者は機関投資家だった。しかしバブルが崩壊すると、機関投資家の動きが鈍るとともに経営状況は悪化。その頃、店頭取引が盛んになっていたFXに後乗りする形で05年に取引所取引、通称「くりっく365」を開始したという流れがある。