警察官194人、消防官66人、自衛官44人――。

 2011年卒業者の、いわゆる“ガテン系”“制服系”公務員への就職者数すべてでトップの“三冠王”は日本大学である。年間8000人強が就職するマンモス校のため、合計300人強の就職者数も全体の4%足らずしかない。学生支援部も「警察官や消防官に特化した就職指導や受験支援はいっさい行っていない」と説明する。

 だがじつは、日大の三冠王は受験支援体制の“副産物”である。

 日大は04年から公務員受験に強い大手予備校と出版社の2社と協力して無料の公務員受験講座を開催している。というのも、学内での「日本法律学校を発祥としながら、なぜ国家公務員1種合格者が2ケタに届かないのか」との声に対し、国家1種合格者10人以上の目標が掲げられたのだ。

 この結果、週2日、普段は1日3時間、夏休みは1日5時間の講座が設けられた。1年目の基礎講座、2年目の実践講座の足かけ2年で国家1種合格を目指す講座だ。受講者は基礎講座で130人にもなる大規模なものだ。

 しかし、7年後の今も2ケタ突破の目標は達成されていない。ところが、「基礎講座を修了するだけで、警察官や消防官の試験に合格する力がつくため、結果として合格者が多い」(学生支援部)という。国家1種受験支援の副次的効果として、ガテン系公務員就職者数が底上げされたというわけだ。

 ただし、言うまでもなく、就職者がこれだけ多いということは、日大のような中堅校でも警察官、消防官、自衛官を志望する学生が大量に存在し、結果的に大学がそれを後押ししているということだ。