しかし、世間の一部は(全てではないようだが)、貴乃花親方が口を開かないことや、弟子である貴ノ岩を外部に接触させないこと、協会の調査に協力しないことに腹を立てているようだ。

サラリーマンは貴乃花親方をどう見るか

 今回の事件を会社に例えて考えるなら、貴乃花親方(理事)は、「社長派とは仲が良くない傍流の役員」で、この役員が、「自分の部下が被害者となった会社の不正について、社内の手続きを取らずに、いきなり警察に訴え出た」ような状況に見える。

 あるいは、もう少し拡大解釈すると、品質検査データや会計処理の不正など会社の深刻な不正を見つけた役員が、取締役会を飛ばして監督官庁やマスコミに情報をリークしたような、「幹部による内部告発」のケースに近い。

 ところで、ここ数日、日馬富士問題について世間の複数の人と話してみると、貴乃花親方に対して、共感を持つ人(割合、少数)と、反感を持つ人(案外、多数)に判断が分かれているように感じた。

 そして、判断が分かれる理由は、貴乃花親方が相撲協会という「組織」に属していることの立場と義務について、「どう感じているか」によるようなのだ。

 貴乃花親方を悪く言う人は、「彼は組織人なのだから、まず組織内での問題処理を優先すべきだ」と感じているらしい。他方、同情的な人は、「組織内で調査しても、うやむやにされるだけだし、組織の外の客観的な力を使って問題の白黒をつけた方がいい」と感じるようだ。

 つまり、貴乃花親方に対する態度は、「組織人が、組織に対してどの程度服従するべきなのか」についての認識(というよりも「感じ方」)で左右されているようなのだ。少々単純化すると、「組織人濃度」が高い人は貴乃花親方に批判的だし、低い人は今回の貴乃花親方の行動に対して寛容だ。

 人間は、概して「仲間」を大切にするようにできているし、大なり小なり集団に帰属する状態を自然・当然だと思う傾向があるから、「組織人濃度」がマイナスになる人は稀だと思うが、この濃度には人によって高低がある。

 読者も、周囲の人々と「貴乃花親方について」語ってみるといい。もっとも話をするうちに、自分自身の「組織人濃度」が相手に露見するので、この点については注意と割り切りが必要だ。