残る心配は貴乃花親方と貴ノ岩の将来

 仮に、貴乃花親方の内部告発が正しい意図であったとしても(筆者はそのように推測しているが)、協会に反旗を翻して内部告発を行い、日馬富士を引退に追い込んだ形の貴乃花親方が、今後、協会内でどのような地位と役割を得るのかは、かなり心配だ。企業の内部告発の場合も、告発自体が正しいものであったとしても、告発者には「戻れる場所」がない場合が多い。

 貴乃花親方自身は覚悟の上なのかもしれないが、そうだとするともったいないことだ。

 一方、直接の被害者である貴ノ岩の立場と将来も心配だ。将棋の三浦九段のスマホ疑惑問題が起きた時にも心配したことだが、貴ノ岩が職業的能力を発揮するためには「相手」、つまり同業の能力の優れた力士が必要だ。おぼろげな記憶で恐縮だが、確か若い時分の貴乃花親方が、「自分から相撲を取り除いたら、ただのデブですから」と言ったことがあったように思うが、力士としての力量と前途のある貴ノ岩を「ただのデブ」にしてはかわいそうだ。

 もちろん、被害者が表立って土俵から排除されることはあるまいが、同業者多数の反感を買った状態で勝負に臨むようになるとすれば、大変気の毒なことだ。

 当然考えているのだろうとは思うが、貴乃花親方には、貴ノ岩のことも配慮してあげてほしい、と一つだけ注文を付けておくことにする。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)