東京、大阪の両証券取引所は、11月22日、経営統合を正式に発表した。それによると、2012年夏ごろを目途に東証がTOBで大証株の66.6%を上限として取得・子会社化した後、大証を存続会社として合併、2013年1月1日に、持株会社「日本取引所グループ」を結成して、その傘下に東証と大証を置く(CEOは斉藤現東証社長、COOは米田現大証社長)、そして最終的には(2014年~15年を目処)東証と大証を再編して日本取引所グループの傘下に、現物市場、デリバティブ市場、清算機関、自主規制法人を置く構想となっている。

現物株式では世界第3位の取引所になるが

 東証・大証合併によって、何がどう変わるのか。まず、世界の取引所の単純な計数比較から始めてみよう。

 今年の上半期(4月~9月)の世界の主要取引所の市場売買規模(売買代金)を比べてみると、トップが「NYSEユーロネクスト(米)+ドイツ」の11.6兆ドル、2位がナスダックOMX(米)の7.4兆ドル、3位が東証+大証の2.1兆ドルとなるが(4位は上海の1.9兆ドル、5位はロンドンの1.5兆ドル)、お隣の中国は、上海に深セン、香港を加えると、4兆ドルを超え、わが国の2倍近いスケールとなる。日本と中国の取引所の近年の勢い(伸び率)を勘案すると、これから先、両者の差は縮まるどころか、恐らく開く一方であろう。

 デリバティブに目を向けると、世界との距離はさらに大きくなる。2010年の実績で見ると、首位の「NYSEユーロネクスト(米)+ユーレックス(独)」の47.97億単位、2位韓国の37.49億単位、3位CMEグループ(米国)の30.8億単位に比べ、「東証+大証」は2.23億単位と世界の14位に甘んじている。

 さらに、新規上場による資金調達額を市場別シェアでみると、2009年~11年の合計では、香港が15%超のシェアを占めて首位、2位がニューヨーク、3位の上海もシェア10%の大台に乗せた。これに対して東証のシェアはわずかに2.3%に過ぎず、アジアではムンバイ(インド)はおろかマレーシアにも抜かれているのが実情なのだ(計数は、11月23日、24日の日経新聞朝刊による)。以上の諸データが「日本取引所グループ」の課題を浮き彫りにしていると考える。