休んでも疲れが取れない!「慢性疲労症候群」の怖さ(写真はイメージです)

われわれが日常的に感じる疲労は、通常休息を取れば改善される。しかし、どれだけ休んでも、倦怠感が強くなる一方なら、それはもはや、れっきとした「病気」の可能性がある。

「風邪かな? と思っていたら、だるさがいつまでたっても改善されない」「簡単な家事をしただけなのに、その後寝込んでしまう」──。

 あなたは「慢性疲労症候群」という病名を聞いたことがあるだろうか。最初は、疲れがたまっただけだろうと思っていたら、見る見るうちに全身の倦怠感が強くなって、日常生活を送るのも困難になり、ひどい場合は車椅子が必要になったり、寝たきりになってしまうこともある。

 慢性疲労症候群の研究に長年携わってきたナカトミファティーグケアクリニックの中富康仁院長は、「この病気は、まだまだ医師たちの間でも認知度が低く、正しい診断がなされないケースが多い。どの医療機関でも『原因不明』『うちでは診られない』などと言われ、病名が特定できない状況が続くうちに、どんどん症状が悪化していきます」と話す。

「怠け者」「甘え」…
患者に浴びせられる周囲からの心ない声

 この病気は強烈な倦怠感の他、微熱、リンパ節のはれや痛み、筋肉や関節の痛み、思考力低下など、まるでインフルエンザにかかったかのような、さまざまな症状が出るのが特徴だ。中富院長らが2014年に発表した論文によれば、慢性疲労症候群の患者の脳においては、特定の部位に炎症が起こっており、その炎症の強さと、その部位に対応した症状の深刻度に相関関係があることが分かっている(下図参照)。