従業員の半数がフリーターや引きこもり経験者、上場企業で起きた人材再生の奇跡デジタルハーツで働く社員たち。半数がフリーターや引きこもりの経験者だ

フリーター、引きこもり経験者ばかり
デジタルハーツで働く社員の素顔

 従業員の半数をフリーターや引きこもり経験者で占めるという、上場企業がある。

 ゲームなどの機器の不具合を探し出す(デバッグ)サービスを専門とする「株式会社ハーツユナイテッドグループ」の子会社である「株式会社デジタルハーツ」という東証一部上場企業だ(※2013年に株式会社デジタルハーツから持株会社体制に移行し、株式会社ハーツユナイテッドグループとして上場)。

 登録する従業員数は、約8000人。毎日約3500人が稼働して、ゲームのデバッグをメインに、バグ(不具合)を見つける作業に従事している。

 発売前の機密情報を扱うため、仕事は全国15ヵ所のラボと呼ばれる作業拠点で行い、在宅での勤務は禁止。クライアントのニーズに応じて、現場に出向くこともある。

 スタッフは、引きこもり状態にあった人などの未就業者が多い。長年ゲームなどの機器に慣れ親しんできた人ほど、バグを見つけるという真面目さと緻密さが要求される仕事に向いていたからだ。

 創業は2001年。宮澤栄一社長(現在は会長)がフリーターなど6人とともに、6畳1間で立ち上げ、ゲームのチェックの仕事から始めた。その後も、未就業者たちと出会って一緒に仕事をするうちに、「自分が持っていたオタクの概念を壊された」という。

「ゲーム好き集まれ!」と呼びかけると、月に250人くらいがまずアルバイトとして登録していく。

 アルバイトは時給制で、週1日からでもOK。いきなりフル雇用を求められないところが、引きこもり歴の長かった当事者にもマッチする。

 バグを多く見つけられる人は、契約社員、社員へと昇格できる。契約社員以上は社会保険に加入でき、有給休暇も社員と変わらない。社員の半数はアルバイトから昇格したという。

 雇用に当たっては、その人のバックグラウンドを重視しない。選考も年齢制限もない。条件は、身元保証人を付けることだけだ。身元保証人は親でもいい。機密情報を扱う責任ある仕事をするからだという。