経済のグローバル化が叫ばれて久しい。これからのビジネスパーソンは、日本で働くということを選ぶことそのものがリスクになるのだろうか?しかし、フェデックス キンコーズ・ジャパン須原社長は異論を唱える。「グローバル化とは、グローバルなルールに則って結果を出せば、誰でも競争のスタートラインに立てる時代の到来」と須原氏は定義してみせる。苦戦を強いられていた同社日本法人をわずか1年あまり、しかも米国本社から限定された支援のみで黒字化させたことで、今やフェデックス キンコーズグループで一番有名な社長のひとりになった須原氏が、前回に引き続き、グローバル化が進む日本と世界を泳ぎきるための日本人論を語る。
グローバル化=働く場所に関係なく
自分の価値が評価される時代
住友商事株式会社を経て、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、競争戦略等のコンサルティングに従事した後、2004年に株式会社GABAにCFOとして入社。その後、取締役副社長兼COOとなり、事業戦略、人材育成を抜本的に改革しながら、マンツーマン英会話のパイオニアとして業界を牽引、全国約30校のスクールオペレーションを統括する。2009年よりフェデックス キンコーズ・ジャパン株式会社代表取締役社長に就任し、現在に至る。ハーバード大学経営大学院修士課程を修了(MBA)。
南 経済のグローバル化に伴って、英語が重要視されています。語学については賛否両論ありますが、須原さんはこれからの日本人はどう働いていくべきとお考えですか?
須原 英語をはじめとする語学力があることはグローバルに戦うことの前提ですね。その上で、日本人であることのアイデンティティを持つべきです。グローバルな舞台で働く時、英語が話せるだけでは何の戦闘力にもなりません。グローバル市場でビジネスパーソンとして価値を高められる日本人は、日本人であることをどんどん強みにしていける、日本のスペシャリストとしての日本人だと思いますね。
南 確かにそうですね。グローバルに活躍すればするほど、自分が日本人であることが重要になってきます。日本の文化や歴史、政治を自分の言葉で説明できる人こそが面白い人だと思われます。でも、そうした場合は国外で働くということになりますよね。国内の場合はどうでしょうか?
須原 そうしたグローバルなベースを持つことで、この不況の中でも活路が広がっていくと思います。日本の経済は伸びません。歴史を見ても、人口が増えない国で経済が伸びた試しはありません。つまり、日本にはもう、オイシイ商売なんてあるわけがないのです。でも、その中で意外と儲かっている会社も、日々のニュースを見ていればあるわけです。