モノ作りの現場を蝕み産業を滅ぼす「日本病」の正体

 誰もが知っている大手メーカーで無資格者による品質管理やデータ改ざんが相次いで露見している。神戸製鋼、日産自動車、富士重工、三菱マテリアルの子会社2社、三菱アルミと続き、いまや経団連会長の出身企業の東レまでも「不正行為」が明らかになった。高品質を誇ってきた日本のモノ作りへの信頼に、黄色信号が灯り始めている。

日本企業で「不正」相次ぐ
発覚しても責任取らず

 この問題の根は深い。

 事態が深刻なのは、いずれの企業もひどい経営危機にあるわけではなく、むしろ巨額の内部留保を積み上げていることだ。

 2016年度末で見ると、神戸製鋼は3547億円、日産自動車は4兆997億円、富士重工は1兆1732億円、三菱マテリアルは3335億円、東レは6912億円といった具合だ。

 そして無資格検査やデータ改ざんの多くは90年代以来、続いてきたことでであり、発覚しても経営者はほとんど責任をとっていない。

 つまり、これらの続発する不祥事は、実はバブル崩壊後に始まった問題先送りによる「失われた20年」が今も続いていることの証左に過ぎないのだ。