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あなたの会社は大丈夫? 「タダ乗り社員」を生む職場

タダ乗り問題の本質は、個人ではなく組織にあり!
フリーライダーを罰するよりも「出さない仕掛け」を

河合太介 [(株)道(タオ)代表取締役社長],渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第43回・最終回】 2011年12月21日
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会社を食い物にする人々を許すべからず
格段に高くなった「タダ乗り者」への意識

 約1年半にわたり、「職場のタダ乗り問題」について述べてきたが、この連載も今回で最後となる。幸いにも、連載中は安定したPV(ページビュー)を得ることができた。定期的に読んでいただいた方々、そして筆者らにメールにて情報や感想をくださった方々に、深く感謝申し上げる。

 この連載に伴い、多くの企業人に会い、話を聞いてきたが、拙著『フリーライダー――あなたの隣のただのり社員』を刊行した頃に比べて、「タダ乗り」に対する人々の意識は格段に鋭くなっているという印象を受けている。

 それはなにも、会社組織での「タダ乗り者」に対してだけではない。生活保護の不正受給、震災復興を名目にした政治家や企業の利益誘導、労働の質以上の待遇を受ける公務員など、国や自治体での「タダ乗り行為」も多くのメディアで取り上げられており、人々はそれに対して強い憤りを感じているように思える。

 しかし、ここで重要なのは憤って「タダ乗り者」を罰したとしても、それで気持ちはすっきりするものの、問題の根本的解決にはならないことだ。

 この連載でも述べてきたとおり、フリーライダーに対して人々は生理的な嫌悪を抱き、時として暴力への動機を持つことも多い。そして、フリーライダーに対して実質的な罰を与えたときには、脳の「報酬系」が活性化する。すなわち、快感を得ることも研究でわかっている。

 しかし、その快感を得た後に、どうなるか。罰されたフリーライダー自身は、放逐されるか行動を改めるかもしれない。しかし、時間が経てば、第2、第3のフリーライダーがまた出てくるのだ。

 フリーライダーに対する懲罰は、医療で言えば「対処療法」に過ぎず、組織の体質からくる「慢性的疾患」としてのフリーライダー問題は、放っておくと必ず再発する。

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河合太介 [(株)道(タオ)代表取締役社長]

ワトソンワイアットを経て、「人と組織のマネジメント研究所」(株)道(タオ)を設立。ベストセラーとなった『ニワトリを殺すな』をはじめ、『デビルパワー エンジェルパワー』『育ちのヒント』(共に幻冬舎)など著書多数。慶応丸の内シティーキャンパス客員ファカルティー。

渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


あなたの会社は大丈夫? 「タダ乗り社員」を生む職場

いつになったら報われるのか――。熾烈な競争に晒されたビジネスマンは疲れ切っている。そんな彼らに強い負の感情を抱かせるのが、職場で増殖中の「タダ乗り社員」(フリーライダー)だ。タダ乗り社員が増える背景には、企業の制度やカルチャーが変化し、組織に矛盾が生じている側面もある。放っておいてはいけない。ベストセラー『不機嫌な職場』の著者陣が、タダ乗り社員の実態と彼らへの対処法を徹底解説する。

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