市区町村化から都道府県へ
移管によって財政基盤を強化

 今回の国保改革は、国保財政の安定化という長年の懸案事項を解決するために、2013年8月に出された「社会保障制度改革国民会議」の報告書で提案され、これを受けた「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律(改革法)」(2015年5月に成立)で見直しが決定。

 2018年度からは、国の財政支援を拡大させることで、これまで市区町村が行ってきた国保の運営に都道府県が責任を持ってかかわり、財政健全化に向けた中心的な役割を果たしていくことになった。

 これまで国保の保険料は市区町村の判断で決められていたが、今年4月以降は所得水準や使った医療費などから標準的な保険料の目安を都道府県が示し、その金額を参考にして市区町村が保険料を決めていく。保険給付に必要な費用は、全額、都道府県から市区町村に交付される。また、都道府県が国保の運営方針をまとめて、事務作業の効率化や広域化も進めることになっている。

 ただし、健康保険証の発行、保険料率の決定、保険料の徴収、健康診断など実際の住民への対応は、住民との関係性が近い市区町村がこれまで通りに行う。

 そのため、当面、国保加入者が受ける影響はほとんどない。健康保険証に記載される保険者名は都道府県に変わるが、これまで通りに市区町村に保険料を納めて、市区町村から健康保険証の交付を受ける。

 これまで国保加入者が他の市区町村に引っ越しをすると、健康保険の加入先も変わったが、4月以降は同じ県内なら同じ国保に引き続き加入することになる。そのため、高額療養費の多数回該当も都道府県単位の国保でカウントされるようになる。療養中に引っ越しても、同じ県内なら以前の市区町村で受けた治療費を引き継いで高額療養費を計算できるようになるので、負担が軽くなるケースも出てくる(ただし、健康保険証は転居先の市区町村で改めて発行される)。

 このように、国保が都道府県に移管されても医療費の自己負担額が上がるわけでもなく、給付内容が変わるわけでもない。表面上、国民への影響はなさそうに見える。

 だが、実は運営主体の変更は、制度発足以来の大改革だ。この改革が成功するかどうかで、国保の持続可能性に大きな影響が出る可能性があるのだ。