市区町村別の保険料を
都道府県単位に統一する難しさ

 今回の改革は、国保を都道府県単位に広域化することでスケールメリットを持たせ、効率的にお金を配分することで、慢性的な赤字を抱えている国保の立て直しを図るのが最大の目的だ。そのために、将来的に都道府県内の保険料を統一することを国は目指している。

 しかし、現状では加入者から集めている保険料も、使っている医療費も市区町村ごとにかなりのばらつきがある。

 たとえば、保険料格差がもっとも大きい長野県は、一人あたり保険料が最大の川上村は12万1083円、最小の大鹿村は3万3872円で、3.6倍もの開きがある(2015年度「国民健康保険事業年報」)。

 使っている医療費の県内格差がいちばん大きいのは北海道で、最大の初山別村の一人当たり医療費は65万7915円なのに対して、最小の別海町は25万3609円で2.6倍の格差が生まれている(厚生労働省「2016年度国民健康保険実態調査」)。

 格差の要因は、所得水準や高齢化率、保健指導の質などがあげられるが、これは長野県や北海道に限ったことではなく、すべての都道府県において見られることだ。

 保険料を県内で統一すると、保険料が安くなる地域は負担が軽くなるが、高くなる地域からは反発も予想される。都道府県への移管が決まったからといって、簡単には保険料の標準化を進められないため、当面は保険料の標準化は見送られ、地域の実情に合わせた運用が行われることになっている。

 もうひとつ国保の財政問題として、しばしば俎上に上るのは一般会計からの繰り入れだ。

 国保は市区町村が運営しているため、いいか悪いかは別として保険料とは別の「一般会計」という財布が身近にある。多くの市区町村では、国保の赤字を埋めたり、低所得層の保険料負担を抑えたりするために税金が投入されているが、一般会計に頼り続ければ財政の問題は見えにくくなり、国保という制度単独での持続性は失われてしまう。

 税金は、国保に加入していない会社員や公務員の人も拠出したもので、本来なら市民みんなが恩恵を受けられるものに使うのが本筋だ。それを一部の人だけが利用する国保に投入することは、行政の健全な運営上も問題があるため、一般会計からの繰り入れにはかねてから批判が出ているのだ。