出国税で財源400億円も観光業界に「期待外れ」の懸念外国人には地元の人向けの店や市場の人気が高いが、案内の多言語表示が十分ではなく、ストレスフリーの旅行に向けた課題は多い Photo:iStock/gettyimages

 2019年1月7日以降、日本から出国の際に1人1000円の出国税がかかる見通しだ。

 これは、18年度税制改正大綱で決まった「国際観光旅客税(仮称)」(以下出国税)のことで、20年に訪日外国人数の年間4000万人達成を目標とする菅義偉官房長官の肝いりといわれる。16年を例に取ると、訪日外国人数と日本人の出国者数を合わせると約4100万人になり、年間400億円強の財源が生まれることになる。

 となれば、観光業界が色めき立つのは当然だ。自治体などに社員を出向させ、地域の観光振興を担ってきたJTBは、観光予算が増えればそれだけ企画が増え、チャンスも増えるともくろむ。

 旅行関係者の中には、訪日外国人により良いサービスを提供するには海外を知るべきだと、学生を対象にした海外視察旅行を観光予算に入れようとする動きもある。

 旅行会社は、出国税の1000円というのは日本人の海外旅行の需要を冷え込ませるほどのものではないとみている。原油高となり燃油サーチャージが上がったときに比べれば、日本人旅行者の負担は少ないからだ。