美鈴さんは彼に対してメールでそう言い切った上で自分の口座へ9万円を振り込むよう切り出したのです。美鈴さんは彼と接点を持つつもりはなく、同じように彼も美鈴さんと接点を持ちたくはないでしょう。さらに嘘の勤務先、年収で彼女を騙して肉体関係を結んだだけでなく、避妊せずに妊娠させた挙句、わずか月収15万円なのを棚に上げて『結婚して出産しろ!』と迫ったり、中絶にかかる費用を一銭も出そうとしなかった過去を誰にも知られたくないはずです。

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 だから今回の請求額が振り込まれれば、振込日以降、彼に対して一切の連絡(訪問、手紙、電話、メール、LINE等、連絡手段を問わない)をしないこと、そして今回の件で知り得た情報すべてについて第三者(関係性を問わず、すべての人間)へ口外しないとメールで書き添え、ようやく9万円が口座に振り込まれてきました。

 本来、彼が身銭を切って全額弁済すべきですが、いかんせんフリーターの身。両親からの立て替え、友人からの借金、銀行やカード会社等からの借入等の方法で用立てたのか不明です。どんな方法で用意したお金だろうと金銭的な価値は変わりません。

「このまま何もなければ10ヵ月目には元気に産まれてくるはずだったと思うと…不憫で仕方がありません」

 それが美鈴さんの最後の言葉でしたが、彼は低収入では子どもを育てることは経済的に不可能だと分かっていながら十二分に気をつけて避妊せず、性交渉に及んだのだから立派な故意犯でしょう。『騙される方が悪い』と本気で思っていたのなら、詐欺師に近いです。

不特定多数の男女が出会う場に
女性の体目的の男性はいる

 さらに長引けば長引くほど被害者(美鈴さん)の心の傷は深まるのに、自分の素性が真っ赤な嘘だと判明した後も「それでも結婚したいし、子どもを産んでほしい」と言い続けて、美鈴さんがもっと傷つくよう長期化させようとしたのだから「愉快犯」でもあると言えるでしょう。女性に対して体目的で近付いてくる男性のことを「ヤリモク」といいますが、不特定多数の男女が出会い目的で集まる場には一定数、ヤリモクが混在しているので、女性はそのことを承知の上で参加すべきです。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため個人名は全て仮名とし、一部を脚色しています。ご了承ください。