佳食漫遊!ニッポンの郷土料理
【第14回】 2012年1月11日 橋本裕之

八戸せんべい汁――アルデンテな歯ごたえのせんべいに、旨い出汁がしっかり染み込む!

 そうこうしているうちに、お椀にはいった「いちご煮」がやってきた。

「おお、ウニとアワビがふんだんに!!」

 そして、やはり、八戸を始めとして三陸の定番のお吸い物『いちご煮』がやってきた。農林水産省選定の『農山漁村の郷土料理百選』にも選ばれている伝統的な料理だ。

ウニとアワビという、東京では高級な食材が、どかっと吸い物に入った『いちご煮』も伝統的郷土料理だ。

 普段、店ではいちご煮蒸しとして、いちご煮の具材でつくった茶碗蒸しを提供しているが、頼むと提供してくれる。ウニとアワビとシソのはいった、豪華なお吸い物である。

「刺身でも食べられるウニとアワビを吸い物にしちゃうなんて、本当に贅沢だね。ある意味もったいないくらいだ(笑)」

 味付けは鰹節と昆布に、薄口醤油、塩といった、本当にシンプルな味でウニとアワビの海の味を存分に味わえる。

 これは八食センターなどでは、缶詰で買うこともできてお土産の定番なのだが、この汁をそのまま、土鍋で、ご飯と一緒に炊くと、美味しいウニ、アワビご飯ができてしまう。これも非常に楽しみな食べ方なのである。

 三陸の海の味を存分に堪能しつつ、一合、そしてまた一合と『陸奥八仙』が空いていくのであった。

『八戸せんべい汁』に『十和田バラ焼き』
青森南部を代表するB-1グランプリ上位常連の味!

 魚介をすっかり堪能したところで、ちょっと変わったメニューを頼むこととした。まずは目につくのが「アピオス天」だ。

「アピオス」という芋は青森県が一番の生産量で、青森でも南部地方の五戸町の地区などを中心に作られている。地元では「ホドイモ」とか「ホドッコ」と呼び、古くから庶民の味として親しまれてきたそうだ。他の芋と比べて、高い栄養価をほこる。(JAゆうき青森のサイトによると、ジャガイモと比較して、鉄分は4倍、繊維は5倍、タンパク質は3倍、カルシウムは30倍。エネルギーはサツマイモの1.6倍、ジャガイモの2.6倍。ビタミンCやイモ類に含まれていないとされるビタミンEも含まれているとのこと)。

 そして、栄養価だけでなく、とても甘みのある味わいがあるのだ。

栄養価バツグンの芋『アピオス』。五戸町を中心に作られており、独特の甘さが特長的。
この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

橋本裕之

飲食店から蔵元訪問など、豊富な食べ飲み歩きの経験から、出版やWEBなどで、食と酒をテーマにした編集やライティングに関わる。過去の執筆に『dancyu』(プレジデント社)、『本格焼酎ぐびなび』(誠Style)など。SSI認定焼酎アドバイザー。ティーコンシェルジュ2級。


佳食漫遊!ニッポンの郷土料理

土地々々の風土に磨かれ、伝え継がれてきた日本の郷土料理を、料理の歴史や地域の慣習などを交えて紹介。その素晴らしさ、味わい深さを再確認していただければ幸いです。

「佳食漫遊!ニッポンの郷土料理」

⇒バックナンバー一覧