ねぶたのイラスト写真はイメージです Photo:PIXTA

日本全国に30万もあると言われる“祭り”が、資金や人手不足のため中止や廃止の憂き目にあっているという。祭りを継承し活性化するために、できることは何か?清貧思考から脱却し、マネタイズできる祭りのつくり方の実例をご紹介する。※本稿は、永谷亜矢子『観光“未”立国~ニッポンの現状~』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。

祭りを継続させるためには
“清貧思考”から脱却を

 祭りは日本全国に30万もあると言われ、1000年以上も続くものや何百万人も集客する大祭など多種多様です。

 インバウンド観光客も大いに興味を抱いています。大勢の見物客が訪れるので、それに伴い、祭りの山車などの制作費や修繕費はもちろん、年々高騰する警備費用やゴミ回収、トイレの確保、運営スタッフの報酬など、とにかく経費がかかります。

 これらは行政の予算や地元企業の協賛や寄付、大規模な祭りであれば有料観覧等で賄われています。自治体は人口減や防災対策費の増大などで祭りへの予算確保が厳しくなってきているという話を折々で耳にします。

 祭りを運営する経費は厳しい現状ですが、ここで考えたいのは、伝統的な祭りであれば、運営側の「歴史的な神事なので儲けてはならない」というストイックな固定観念や、ノウハウ不足のためにマネタイズされた企画を組み立てられず、観覧無料が恒常化してしまいがちな点です。

 協賛金も1万円から3万円を多数の地元企業から獲得するパターンが多く、頑張って積み上げても数百万円といったところ。結果、収支改善に至らないケースが多々、見られます。