吉原精工の有給休暇制度の考え方

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吉原精工では、入社1年目から年間20日の有給休暇を設けています。
20日間の有給休暇のうち、14日間は私が割り振ります。社員は、残り6日間は自由にとることができる仕組みです。ちなみにこの運用は法律上問題なく、最低5日間を自由に取れるようにすれば、残りは会社が指定して休んでもらうことが可能です。

有給休暇のうち14日間を私が割り振るのは、ゴールデンウイーク、お盆、年末年始にそれぞれ10連休をつくるためです。「社員全員が、年に3回10連休をとれる」というのも、吉原精工の待遇の大きなポイントになっています。

10連休といっても、会社が10日間休業するわけではありません。
実際の運用では、社員をAとBの2グループに分けています。Aグループは金曜日から休み始めて翌々週の月曜日が休み明けの出勤となります。Bグループは日曜日から休み始めて翌週の水曜日が休み明けの出勤となります。
このようにグループごとに休みを設定すると、会社の休業日は月~金曜日だけということになります。10連休とはいうものの、会社の休業日は実質的に5日間だけなのです。
しかも、5月や年末年始は祝日もありますし、8月も取引先企業の休業日がありますから、実際のところお客様に迷惑をかけることはほとんどありません。

また、有給休暇を6日間使い切ってしまった場合、土曜日など休日に出勤すればその代休としてまた休めるようになることなどもフレキシブルに考えています。
これは私自身が電機会社で働いていた頃「6月なのに4月にもらった有給休暇を全部使い果たしてしまった!」という悪夢を見ることが何度もあったからです。

「有給休暇が復活できればいいのに」
昔、自分自身が思っていたことを実現しているわけです。

(続く)

■著者紹介
吉原 博(よしはら・ひろし)

株式会社吉原精工会長。1950年鹿児島県出身。高校卒業後、電機会社に勤務。その後、商社や金型製作会社を経て、1980年に同社を創業。2015年より現職。
当初はブラック企業だったが、経営改革により、社員7人ながらも「完全残業ゼロ」を達成。その取り組みが「2016年度厚生労働省働き方改革パンフレット」への事例として紹介される。これを機とした日刊工業新聞での記事で大きな注目を集め、『おはよう日本』『クローズアップ現代+』(以上、NHK)、『日経トップリーダー』(日経BP)、日本経済新聞など、多数のメディアで紹介される。また、残業ゼロ以外にも「年3回の10連休」「ボーナス手取り100万円」などが話題になる。著書に『町工場の全社員が残業ゼロで年収600万年以上もらえる理由』(ポプラ社)がある。