花粉症ほどメジャーではないが、ペットの抜け毛やホコリが原因のアレルギー性鼻炎に年中悩まされている方も多いだろう。今はさまざまな抗アレルギー薬があり、以前より対処しやすくなっている。それでも、薬は使いたくないという方にユニークな治療法を紹介しよう。なんと、二酸化炭素でアレルギー症状を改善しようというのだ。
この治療法は、片頭痛やアレルギー性鼻炎の治療薬を開発している米バイオベンチャーの支援で、地道に研究が続けられていたもの。今年8月に報告された米国内での臨床試験では、アレルギー性鼻炎の患者に高濃度(流量10ml/s)に調節したガスボンベのノズルから、二酸化炭素を10秒間鼻腔内に投与した結果、投与30分後に鼻水、かゆみ、くしゃみ、涙目などの症状が改善し、効果が4~6時間持続したと報告されている。副作用は鼻の不快感や涙目、頭痛などだが、ガスの投与に伴う一過性のものだった。
アレルギー性鼻炎の症状改善によく使われている点鼻薬にも劣らない効果で“究極の自然療法”誕生か? と言いたいところだが、課題が二つ。一つはなぜ、二酸化炭素が鼻炎症状を抑えるのか? という根本がわかっていないこと。もう一つは、二酸化炭素投与中にそうとうの不快感があることだ。前者は既存の医薬品でもままあるので目をつぶるとして、後者は見過ごせない。今回の試験でも、二酸化炭素療法を受けた患者のじつに8割が“Discomfort”としている。