携帯電話事業者の垂涎の的であるつながりやすい電波(プラチナバンド)の争奪戦が山場を迎えている。だが、そこで露呈したのは割り当ての制度の欠陥だ。総務省は初めて「オークション的な考え方」を導入するといったのだが、まやかしともいうべき問題点がある。このままでは将来に禍根を残しかねない。
昨年末から今月にかけて、携帯電話事業者が総務省に足しげく通っている。そこは国の電波行政を担う電波部で、ひざ詰めで担当者から説明を聞いているという。
というのも、地上デジタル放送への切り替えなどに伴って使わなくなった電波を携帯電話向けに割り当てることになり、その一部の申請期限が1月27日に迫っているからだ(下図参照)。
手に入れば大きなビジネスチャンスとあって「申請書類は一字一句も間違えられない」(関係者)と事業者が細心の注意を払うのも当然だ。
今回の対象は、900メガヘルツ帯という貴重な周波数。その特徴は、電波の中でも屋内に入りやすく、大人数が使えるため、つながりやすいところにある。世界的にも携帯電話向けに使われており、この電波を使えば端末の調達コストも下げられるのだ。
スマートフォンの普及でデータ通信量がふくれ上がるなか、「プラチナバンド」と呼ばれるほど事業者にとって価値が高い。土地であれば、「銀座の一等地」ともいえる代物だ。
ただし、与えられるのは1社のみ。そこで、今回初めて「オークション的な考え方」を踏まえた制度が導入され、NTTドコモにKDDI、ソフトバンクとイー・アクセスの4社が名乗りを上げて、熾烈な競争を繰り広げている。
しかしながら、どうも特定の会社に有利な仕組みであるという指摘があるのだ。