経営 X 人事

新任管理職が抱える部下指導の悩みはキャリアコンサルティングで軽減するか

【面談1回目】

 「昨日、新任課長研修を受けたGですが、部下のことで困っているので相談に乗ってほしい」とメールがあり、来室。

Gさん「部下は好き勝手に自分のやり方で仕事をするし、会社がワークライフバランスとか、多残業禁止とか言うから、従来通りには仕事を命じられない。もうやってられません」

 どんな部下なのか聞いてみると、「MBAに行きたい。だめなら退職する」という部下、「今海外に駐在に出ないと、もう手遅れになりそうで心配です」と自分のキャリアばかり気にする部下、何度も職場復帰に失敗した過去があり、安心して仕事が任せられない状態なのに「私の評価が低すぎる」と不満を訴えてくる部下、さらに、入社したばかりの女性の部下が、仕事の基本より結婚・出産・育児の支援制度について質問ばかりしてくるという。

 部長からは、「そこを上手に指導しながら業績を上げるのが課長だろ。部下のメンタルヘルスを大事にして、モチベーションを落とさないように気をつけろよ」と丸投げされてしまい、戸惑っていた。そんな周囲への不満を、Gさんはひとしきり話し続けた

キャリアコンサルタント「MBA留学したい、という部下の方は、社内試験に合格しているんですか?」

Gさん「いえ。2年続けて失敗しています」

キャリアコンサルタント「かなりの難関ですからね。来年は受かるように、勉強に時間を割けるようにしてあげるお考えはありますか?」

Gさん「今でも、無駄な残業はしていませんし、あとは本人の努力次第じゃないでしょうか」

キャリアコンサルタント「海外駐在への希望は、わからなくはありません。Gさんも駐在の経験がありますよね」

Gさん「はい。昨年まで3年間、オーストラリアにおりました」

キャリアコンサルタント「30代になってからですね。20代の頃は、海外に出たいという焦りはありましたか?」

Gさん「そういえば、焦りというわけではありませんが、早く出たい、という気持ちはありました」

 さまざまな角度からじっくりと話をして、1時間後にGさんはコンサルティングルームを後にした。

 「長い時間じっくり話を聞いてくださってありがとうございます」と、最後の落ち着いた言葉が印象的だった。

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「企業内キャリアコンサルティング」入門

2016年4月より国家資格となったキャリアコンサルタント。厚生労働省は企業内にキャリアコンサルタントを置き、従業員のキャリア支援を促進することを唱道している。本連載は、他社に先駆けて2001年に伊藤忠商事でキャリアカウンセリング室を創設して初代室長となり、退職後もライフワークとして「企業内キャリアコンサルティング」の普及に努めている浅川正健氏が、キャリアコンサルティングの望ましいあり方と、実際のコンサルティング事例を解説する。

「「企業内キャリアコンサルティング」入門」

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