他人が感じる不快な体臭はスメルスハラスメント(スメハラ)と呼ばれ、その代表格は口臭。しばしば「胃腸が原因」とされているが、大抵の原因は「口の中」にあり、歯科に関わる仕事をしている者は、口の中をみれば一目瞭然、その人のバックグラウンドや立場は容易に想像がついてしまう。(歯科医師・歯学博士・日本歯科総合研究所代表取締役社長 森下真紀)
セクハラ、パワハラに続く問題に!?
他人が不快に感じる口臭、体臭のスメハラ
近年、セクシャルハラスメント(セクハラ)やパワーハラスメント(パワハラ)に続いて、「スメルハラスメント」という言葉が取り沙汰されてきていることをご存じだろうか。
スメルハラスメント(通称:スメハラ)とは、まさにその名の通り、“臭い”によるハラスメントのことであり、その人が発する臭い、すなわち体臭を原因とした周囲に不快な思いをさせる行為を指す。
スメハラはハラスメントの一種ではあるものの、セクハラやパワハラとは異なり法律で規制されておらず、意図的な場合だけではなく、意図せず自己の悪臭に気がつかぬまま周囲に迷惑をかけていることも多い。
特に、臭いは感じ方に個人差があること、そして個々の体質が関係することもあるため、安易に指摘することは人権侵害につながるという懸念の声もあり、極めて扱いにくい複雑な問題だ。
以前までは、このようなデリケートな臭いに関する問題は声を大きくして指摘されることはなかった。しかし、近年の匿名性の高いSNSなどの普及によって頻繁に話題に上るようになり、思いのほか他人の臭いを不快に感じている人が多いことが理解されるようになってきた。