写真はイメージです

中高生の制服というと
昔の自分を基準に考えてしまう

 本書のタイトル『女子高生 制服路上観察』だけを見ると、いわゆるJKビジネス的な何かを連想してしまう人もいるかもしれないが、それは全くの誤解だ。制服メーカーのマーケッターが「なんでこんなヘンテコな着こなしや改造を施すのだろう??」と現場に張り付いてこれでもかと聞き込んでたどり着いた、制服を着る中高生の実態である。様々な読み方ができるが、とりわけ改造と着崩し視点からの観察と分析、そしてメーカーとしての攻略法が素晴らしい。

『女子高生 制服路上観察』
佐野勝彦、光文社、226ページ、820円(税別)

 中高生の制服と言うと、ついつい昔々の自分を基準に考えてしまう。私が育った1990年代初頭、静岡某所の田舎中学校ではちょうどヤンキースタイルの代表と言えるロングスカートの終わりという頃合で、昼休みに円陣バレーに興じる先輩の長い長いスカートがふわりと宙に舞っている姿はとってもすてきだった。ロングスカートは永遠だと思っていた矢先に、そんな片田舎にも都会の女子高生文化の嵐がやってきて、私たちは高校に入るとあっけなくあのズルズルしたスカートを捨てて膝出しスカートにルーズソックス姿になった(少し脚色してます)。たとえ制服のない学校に通った人だったとしても、日本で学生生活を送ったことのある大半の人が何らかの制服に対する思いを持っているのではないだろうか。

 著書は96年からトンボ学生服のユニフォーム研究開発センターに所属し、20年に渡って制服の着こなし観察を行ってきた。ウィキペディアによると(そして私の遠い記憶によると)ルーズソックスの一大ブームは93年から98年頃とのことなので、ルーズソックスにミニスカート時代の後半辺りからの観察ということになる。

 制服納品業者という立場ゆえ、本来はコンペに勝って納品完了すればそれ以降のことを気にする義理はない。どんなにへんちくりんに制服が着崩されていたとしても関係ないのだ。しかし、著者の考え方は違う。制服をどのように着こなしてもらうのか、そこまで研究し尽くしてこそ信頼関係が構築され、ひいては次の新製品の提案につながるのだ、と全国各地に飛んで現場でのヒアリングを重ねる。