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部下に悩む 上司のための心理学
【第11回】 2009年7月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
衛藤信之 [心理カウンセラー]

優れたリーダーは部下に弱みを見せる

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正直な気持ちを隠したいという思い

 前回、自分の素直な気持ちを伝えることによって部下との意思疎通をスムーズにする“自己開示メッセージ”の効果についてご紹介しました。ただ、いざ実践となると、そうそう思い通りには行かないかもしれません。

 その大きな原因の1つは「自分の正直な気持ちを隠したい」という思いです。自己開示メッセージを効果的に使うためには、自分の本音を語らなければなりません。「助けて」という救済の自己開示メッセージは、とくにそうです。

 以前も、あるメーカーの営業課長さんから「自己開示メッセージの理屈は分かりましたが、現場では使えませんね」というご意見をいただきました。

 そこで私は、その営業課長さんが、なぜ現場で自己開示メッセージを使おうとしないのか、じっくり話を聴いてみました。

 話を聴いていくうちに分かったことですが、実はその課長さんは「事務をやっている女性社員に陰口をたたかれている」という悩みを持っていました。給湯室で、営業成績があがらない自分や、自分の課のことを、面白おかしく批判するような発言を聞いたのだそうです。プライドの高いその課長さんはとてもショックを受けたようで、オフィスにいるときには、事務をしている女性社員たちのことが気になって仕方がないのです。

 だから、何とか営業成績をあげたい。しかし、部下はどうも営業活動に身が入っていない。いつも厳しく指示を出しても、返事ばかりでまったく効果がない。

 そこで、部下に対して、自分の素直な気持ちを「自己開示メッセージ」で伝えようと思ったのだそうです。でもその課長さんは、「やはり使えない」とおっしゃいます。

 「どうしてですか?」と質問すると、こんな答えが返ってきました。

 「厳しい課長として通っている私が、そんな弱みを見せられるわけがない。営業成績が伸びずに、こんなに悩んでいることを知られるのは嫌だし、事務の女性社員たちに気を使ってビクビクしていることなど知られたら、部下は自分を見下し、つけあがるでしょう」

 それで私は、「いままで、自分の正直な気持ちを部下に伝えて、見下されたことがあるんですか?」と聞くと、「そんなものはない」とおっしゃいます。そんなことは自分のプライドが許さないのだそうです。

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衛藤信之 [心理カウンセラー]

日本メンタルヘルス協会代表。心理学の学派や権威にとらわれずに、難しい理論を面白おかしく説明できる逸材として、語りでは吉本風心理学の異名をとる。心理カウンセラーのなかでは顧問企業数はトップクラス。講演や研修を行うかたわら、全国で心理学のゼミナールを開催。著書に『心時代の夜明け』(PHP研究所)などがある。


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