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部下に悩む 上司のための心理学
【第14回】 2009年8月11日
著者・コラム紹介バックナンバー
衛藤信之 [心理カウンセラー]

部下と価値観が対立したら、どう対処すべきか

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価値観の対立がもたらす上司のジレンマ

 上司と部下の個人的な意見が対立した場合には、お互いの欲求を確認し、アイデアを出し合い、歩み寄ることが可能です。「ヤマアラシのジレンマ」の逸話のように「『最大限の温もり』と『最小限の痛み』があるような、相手との距離を探す」ことにより、問題を解決することができます。

 しかし、職場の中では歩み寄れないこともあります。たとえば、「部下の価値観」と「組織の価値観」が異なっているような場合です。

 組織は目的集団ですから、収益を上げなければなりません。メンバー全員の利益も考えなければならない。もちろん、社会にも貢献しなければならない。それぞれの組織がいくつもの目的を持っています。そして、それを遂行するための規則や価値観を持っているのです。

 たとえば、「経営理念」や「職務規定」がそうです。企業風土に根ざしている暗黙のルールなど、明文化されていないものもあります。また、1人ひとりの社員には組織人としての協調性がもとめられますし、社会人としての常識も守ってもらわなければ困ります。

 こういったものは、職場の根幹をなすものですから、安易に譲ることはできません。部下の価値観を優先させてしまえば、それによって組織の規律や価値観が損なわれてしまいますから、歩み寄ることは難しい。ですから、部下に組織の価値観を指導することが必要になるのです。

 しかしここで、多くの上司はジレンマを抱えることになります。なぜなら、部下を効果的に指導する方法を知らないからです。

 多くの上司は、部下と価値観が対立すると、無意識のうちに権力を使ってしまう傾向にあります。それぞれの人は育てられてきた環境が異なり、ものの考え方も違います。そして人は、自分の価値観を正しいものだと信じたがる感情を持っています。ですから、自分とは違う価値観に遭遇すると「何を考えてるんだ!」と、すぐに相手の価値観を押さえ込もうとしてしまいます。上司と部下の関係になると、その感情がいっそう強くなるのです。

 しかし、権力型リーダーシップでは部下を指導することはできません。部下も自分の価値観を正しいと信じていますから、上司から自分の価値観を否定されたり、価値観を無理やり修正されると、上司に対して強い不信感を抱きます。

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衛藤信之 [心理カウンセラー]

日本メンタルヘルス協会代表。心理学の学派や権威にとらわれずに、難しい理論を面白おかしく説明できる逸材として、語りでは吉本風心理学の異名をとる。心理カウンセラーのなかでは顧問企業数はトップクラス。講演や研修を行うかたわら、全国で心理学のゼミナールを開催。著書に『心時代の夜明け』(PHP研究所)などがある。


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