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山田厚史の「世界かわら版」

【新連載】
ギリシャだけが悪いのか 
護送船団「ユーロ」の盲点

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
【第1回】 2012年1月19日
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 それにしても底が見えないユーロ安だ。昨年末、EU首脳会議で「結束」を確認した欧州だが、今年の焦点は「分裂」である。回避するには「ドイツの決断」が問われる。「統一通貨ユーロはドイツの国益」という、あられもない話が表面化する年になるだろう。

ギリシャはユーロという
「毒饅頭」を食べた

やまだ・あつし/1971年朝日新聞社入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。2000年からバンコク特派員。12年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 「欧州一体化」の象徴であるユーロは「戦争のない安定した欧州の創設」という理想を背負っている。小国がひしめく欧州が多数の国家に分かれていることは、効率的ではない。経済合理性に照らせば、欧州統一は歴史の流れかもしれない。問題は統合で得をするのは誰かにある。国家という単位で損得を測れば、「圧倒的に有利なのはドイツ」である。

 ユーロへの加盟で、ギリシャやポルトガルなど周縁国は、つかの間の歓びを味わった。エーゲ海文明のころギリシャにはドラクマという通貨があった。トルコから独立した新生ギリシャは、通貨にドラクマを復活させることで自尊心を回復した。そのドラクマを手放してユーロの一員になった。ギリシャでは政府も国民も、自国の経済に自信がなかったからだ。世界に通用するのは観光とオリーブぐらい。最大の産業は公務員で、日本の地方都市のような国家である。経済は脆弱で、通貨は不安定。ドラクマでは海外の銀行も相手にしてくれない。

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山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


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元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

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