今回の仮想通貨流出事件は
仮想通貨への楽観を考え直すよい機会

Photo:REUTER/AFLO

 1月26日、大手仮想通貨取引所(交換業者)である“コインチェック(Coincheck)”から、多額の仮想通貨“NEM(ネム)”が不正に流出した。同社がこの事象を検知したのは、同日11時25分頃だった。

 顧客の資産である仮想通貨が社外流出したにもかかわらず、迅速な対応がとられなかったことに対して批判の報道が続いている。記者会見で同社の和田社長が、しっかりしない回答を繰り返したとの印象を受けたことも批判に拍車をかけている。

 そうした批判は重要だが、それだけで意義ある見解を導くことは難しい。今回は、別の視点でNEMの不正流出を考えてみたい。

 今回の仮想通貨流出事件は、仮想通貨への楽観を冷静に考え直すよい機会かもしれない。仮想通貨には、長い目で見てさまざまな可能性があるものもある半面、その価値に何も裏付けがない仮想通貨が、永久に上昇し続けることはありえない。仮想通貨のリスクと可能性を、もっと冷静に考えることが必要だ。

 今回の事件の発端は、コインチェックが基本的なシステム運用を徹底していなかったことにある。監督官庁も、より厳格に仮想通貨の交換業者をモニターして行く必要があるだろう。仮想通貨の役割は重要性を増す可能性がある。企業と政府の両者が連携し、安定した仮想通貨取引の社会的なインフラ形成を目指すべきだ。

 今後の展開を考えると、民間の銀行、あるいは中央銀行が自らの信用力を裏付けとした仮想通貨を発行する可能性は高まっている。そうした取り組みと、ただ単に人気に支えられた仮想通貨ブームは切り離して考えなければならない。信用の裏付けのない仮想通貨は投機の対象になりやすい。仮想通貨に投資する場合、そのリスクを十分に理解すべきだ。