スズキ、ヤマハなど民間企業のコスト意識を自治体に移管

 自治体の財政健全化に、民間企業や民間人が貢献できる余地は大きい。

 民間企業はバブル崩壊以降、コスト削減を迫られ、長年その文化の中に生きてきた。特にスズキ、ヤマハのような製造業では、常に厳しい競争環境に晒されているため、業務改善は常に求められる。そうした歴史の中で培った意識やノウハウを役所に取り込むことで、浜松市は大きな成果をあげた。

 この浜松市の事例を、「スズキとヤマハがいたからできた」で終わらせるのはもったいない。自治体によっては浜松市のように有力な企業が存在しないというケースも多い。だが、その地域で健全な経営をしている企業があれば、財政健全化を支援できる人材が存在するということ。コストカットを行う上で特殊なアイデアは不要だ。そこで最も必要とされるものは実行力と徹底力、そして、それらを支える強い意志である。

 地域内に協力してくれる企業が存在しない、という自治体にも朗報がある。筆者は先日、関東のとある町の町長から、「まちづくりにスピード感や新たな視点を持ち込むために、ブレーンとなりうる民間の経営人材を紹介してほしい」という依頼を受けた。

 それを受けて、上場企業の社長などを含めた複数人に打診をしたところ、8割の人が「ぜひ参加したい」と応じた。経営者たちは地縁があるわけでもなく、当の町までそれなりの物理的距離もある。さらに言うと、普段の彼らの業務に比して報酬額は決して大きいものとは言えない。それにもかかわらず、参加を希望したのである。

 町長自身も報酬額に心苦しさを感じていた分、その結果に驚いていたが、筆者としては自治体に活躍の場を見出したいと感じる民間人は、まだまだ多く存在すると考えている。