インフルエンザの大流行が続いている。定点の1医療機関あたり患者数は1月末以来、毎週のように過去最多を更新。昨年9月からの累積患者数はすでに1100万人を超え、さらに増える勢いだ。今シーズンは例年2~3月にかけて流行するB型インフルエンザの立ち上がりが予想外に早く、A型、B型の同時流行が患者増に拍車をかけている。(医学ライター 井手ゆきえ)
今年に入ってB型が猛威
年齢によっては感染リスクが高い
インフルエンザウイルスはA型、B型、C型の3タイプがあり、世界的に流行するのはA型、B型の2つ。特にA型は変異を起こしやすく、そのマイナーチェンジに人間が前年獲得した免疫が対応しきれず、流行をくり返す。時には新型インフルエンザウイルスへとフルモデルチェンジし「パンデミック(大流行)」を引き起こす厄介な存在だ。
これに対しB型は多様性が乏しく、一度かかると免疫機構が学習するため大流行はしにくい。ただし、流行しないがために逆に抗体(インフルエンザウイルスと闘うために免疫機構がつくる矢玉)の保有率が低く、年齢よっては逆に感染リスクが高い。
今シーズンのはじまりに実施された国立感染症研究所の「インフルエンザ抗体保有状況」によると、おなじみのA香港型はほぼ全年齢層で60~70%が抗体を保有していたが、B型のうち「ビクトリア系統」と呼ばれるタイプの抗体保有率は40%未満、特に0~4歳と65歳以上では20%に満たなかった。