闇株新聞[2018年]

米株史上最大下落幅の原因は「米国長期金利の上昇」。2018年に最初に暴れた「灰色のサイ」の正体とは?闇株新聞が懸念する世界&日本の株式市場の今後

2018年2月16日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事
闇株新聞プレミアムメールマガジン 20日間無料!

昨年から絶好調だった株式市場が、2月に入って急落しました。震源地は米国で5日にはダウ平均が史上最大の下落幅(-1175ドル安)を記録、世界の主要株式市場も影響を受け、世界同時株安の様相を呈しています。そもそも下落の原因は何だったのか、今後の見通しはどうなのか!? 刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が解説します。

米株史上最大下落幅の原因は「米国長期金利の上昇」。2018年に最初に暴れた「灰色のサイ」の正体とは? 闇株新聞が懸念する世界&日本の株式市場の今後

史上最大下落幅を記録した5日より
反発後8日の下げ理由がとんでもない

 本紙は昨年11~12月、世界の株式市場に株価下落の引き金となりうる危険な兆候がたくさん現れていることを「灰色のサイ」になぞらえて書きました。どうやら最初に暴れだしたサイは「米国長期金利の上昇」だったようです。

【編集部注】「灰色のサイ」とは、今は問題視されていないがいつか大暴落を引き起こしかねない懸念材料のこと。サイは普段は大人しく人畜無害の動物だが、ひとたび暴れ出すと誰もその暴走を止められなくなることから。

参考記事:
大暴落をもたらしかねない不吉な存在、相場に潜む「灰色のサイ」に警戒せよ(2017年12月1日)
2017年最大の「灰色のサイ」が急浮上!? 世界的株価上昇の根拠がいよいよ消滅か(2017年12月8日)

 米国株が急落した理由は「財政赤字拡大の懸念」と、賃金上昇が招くインフレ懸念からの「長期金利(10年国債利回り)の上昇」です。しかし、これらの材料は昨日今日降って湧いたものではありません。むしろこれまでは株価を押し上げる要因として作用してきました。

 財政赤字が拡大するのは、トランプ政権と連邦議会が「財源が確保されていない大型減税」を成立させた昨年末の時点で明らかでした。しかし、大型減税そのものは企業業績には直接的にはプラスなため好材料と受け止められていたのです。

 長期金利も昨年9月から少しずつ上昇していましたが、本来10年国債利回りは米国経済の見通しを反映するため、減税による米国経済の見通し改善→長期金利の緩やかな上昇→株高という「常識通りの反応」であったわけです。

 ではなぜこれらが突然、悪材料に変貌したのでしょう? じつは市場では「好ましい金利水準と好ましくない金利水準の境目は2.75%である」と喧伝されていたのですが、2月2日に一気にこの水準を超えて2.84%まで上昇したことが引き金になったと考えられます。

 ただし、NYダウが史上最悪の1175ドル安(2月5日)を記録すると、長期金利も2.70%まで低下しましたので「株価下落の最大の要因」は解消されたはずでした。事実、6・7日の米国株市場は落ち着きを取り戻したかに見えたのですが、7日夜に「とんでもないこと」が起こって8日には長期金利が2.88%まで再上昇、NYダウは1033ドル安となったのでした。

 その「とんでもないこと」とは、米上院の与野党指導者が国防費などを積み増すため、2018年および2019年会計年度の歳出上限を合計で3000億ドル(日本円にして約33兆円)も引き上げてしまったことです。よりによって財政赤字の拡大が米国経済と金融市場に悪影響を与える可能性がこれだけ増大しているときに、米国は何の警戒もなく、いとも安直に・・・。

財政赤字拡大の歯止めがなくなった!
今後「悪いドル安」が始まる可能性も

 これで米国は、財政赤字拡大と金利上昇に歯止めがかからないことになりました。今度こそ長期金利は恒常的に2.75%上回り、株式市場に悪影響を与えることになるでしょう。今後は、株価下落、経済低迷、FRBの利上げ中断などで長期金利が再び低下に向かわない限り、株式市場が本格的に反転上昇するシナリオは考えにくくなりました。

 財政赤字が拡大すれば当然のように国債発行額が拡大しますが、プライマリーディーラーの予想では2018年に市場で調達が必要な財政資金(要するに市中での国債発行額)は9550億ドルと2017年度比84%増となり、2019年では1兆830億ドルとさらに拡大するといいます。

 いよいよ「好ましくない金利上昇」だけでなく、米国から外国資本が流出する「悪いドル安」が始まるかもしれません。そうなると、ますます米国株市場の浮上は難しくなるでしょう。

 FRBは昨年9月から債券保有残高の縮小に取り組んでおり、2018年には4200億ドルも減らすことになっています。2月8日時点では前週分からほとんど変化がありませんが、予定通りに実行すれば米国の債券受給(特に長期債券の受給)はさらに悪化が必至です。

米国株の調整局面は長引きそう
気になる日本株の予想レンジは!?

 NYダウが1月26日に付けた史上最高値26616ドルを更新することは、当分の間はないでしょう。とはいえ、米国企業の業績もしばらくは好調を維持するでしょうから、当面は2万3000~2万4500ドルあたりのレンジで推移すると見ています。

 これを受けて日本の株式市場はどう動くでしょう。日経平均は1月23日の2万4124円から先週末(2月9日)の2万1382円まで、11.3%の下落に見舞われました(新興国を除き、世界の主要株式市場の下落幅はどこも同じようなものでした)。

 日本は日銀が10年国債利回りを0.1%に押さえ込んでいるため、長期金利の上昇が株価下落の要因となるはずはありません。企業業績も概ね好調で「米国株の下落」以外には下げ要因は見当たりません。

 それでも米国株市場の調整が長引き、日本株だけが大幅上昇する展開も考えにくいものです。為替ももう少しドル安・円高になりそうで、これも日経平均の上値を限定的なものとするはずです。日経平均の当面の取引レンジとしては、2万500~2万2000円あたりと考えます。

闇株新聞プレミアムメールマガジン 20日間無料!

これまで順調に推移してきた世界の株式相場、企業業績は引き続き好調のようですがついにトレンドが転換するのでしょうか!? 潮目の変わり目は判断が難しいもの。目先の値動きだけを追いかけても勝てません。あらゆる市場に目を配り、さまざまに交錯する事情と思惑を天秤にかけながら、シナリオを読むことが必要です。本連載は相場のプロも購読しネタ元にしている刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」から記事の一部を抜粋・編集してお届けしています。

闇株新聞PREMIUM

闇株新聞PREMIUM
【発行周期】 毎週月曜日・ほか随時  【価格】 2,552円/月(税込)
闇株新聞PREMIUM 闇株新聞
週刊「闇株新聞」よりもさらに濃密な見解を毎週月曜日にお届けします。ニュースでは教えてくれない世界経済の見解、世間を騒がせている事件の裏側など闇株新聞にしか書けないネタが満載。
お試しはコチラ

 

DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)

●DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)とは?

金融・経済・ビジネス・投資に役立つタイムリーかつ有益な情報からブログに書けないディープな話まで、多彩な執筆陣がお届けする有料メールマガジンサービス。
初めての方は、購読後20日間無料! 


世の中の仕組みと人生のデザイン
【発行周期】 隔週木曜日  【価格】 864円/月(税込)
世の中の仕組みと人生のデザイン 橘 玲
金融、資産運用などに詳しい作家・橘玲氏が金融市場を含めた「世の中の仕組み」の中で、いかに楽しく(賢く)生きるか(人生のデザイン)をメルマガで伝えます。
お試しはコチラ

堀江 貴文のブログでは言えない話
【発行周期】 毎週月曜日、水曜、ほか随時  【価格】 864円/月(税込)
堀江 貴文のブログでは言えない話 堀江 貴文
巷ではホリエモンなんて呼ばれています。無料の媒体では書けない、とっておきの情報を書いていこうと思っています。メルマガ内公開で質問にも答えます。
お試しはコチラ

 


ダイヤモンド・ザイ 2025年2月号好評発売中!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

「株」全予測
人気株500激辛診断
優待年末年始

2月号12月20日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[「株」全予測/人気株500激辛診断]
◎新春特別企画
2024年に儲けた株&損した株も大公開!
桐谷さんのゆく年くる年

2025年も全力優待ライフ
◎第1特集
2年目NISAの必勝法!
112人のプロに聞いた!
2025年「株」全予測&儲け方

●日経平均は5万円へ!日本株の高値・安値予測
●生成AIブームも半導体は苦戦!
上がる株・下がる株
●国内利上げで銀行・金融が有望!
上がる業種&テーマ
●中央銀行の買いが継続!金(ゴールド)
●トランプ政権下でも下落傾向!原油
●ドル円は年後半に140円台に!為替
●オルカンの次に買う1本も!投資信託

◎第2特集
買っていい10万円株は97銘柄!
<2025新春>人気の株500+
Jリート14激辛診断

●投資判断に異変アリ!
買いに躍進!》トヨタ自動車、ホンダ…など
強気に転換!》ソニーグループ…など
●儲かる株の見つけ方[1]旬の3大テーマ
通期で上ブレ期待/AI関連で恩恵他
●儲かる株の見つけ方[2]5大ランキング
PBRが低く改善に期待の株/アナリストが強気な株/配当利回りが高い株
●2025年新春のイチオシ株
10万円株/高配当株/株主優待株/Jリート
●気になる人気株
大型株/新興株/Jリート

【別冊付録】
増益割安株は1178銘柄
上場全3916社の最新理論株価

◎第3特集
トランプ政権下でどうなる!?
人気の米国株150診断
●S&P500指数をプロが大予測

●Big8を定点観測!GAFAM+αを分析!
●買いのオススメ株
トランプ株/高配当株
●人気の124銘柄を徹底診断
ナスダック/ニューヨーク証券取引所

◎第4特集
ザイクラブ拡大版!2024年はどうだった?
ザイ読者の悲喜こもごも&2025年の投資戦略
ザイ編集部員のプチ反省&自慢大会も!


◎連載も充実!

◆目指せ!お金名人
◆10倍株を探せ!IPO株研究所2024年10月編
◆おカネの本音!VOL.29兒玉遥さん
◆株入門マンガ恋する株式相場!
◆マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
◆人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報