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震災で需給が締まった不動産
供給継続企業と戸建てが勝ち組

週刊ダイヤモンド編集部
2012年2月13日
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思いのほか好調だった戸建業界。マンション供給も追い風となった(写真はイメージです)
Photo by Toshiaki Usami

 東日本大震災を機に極度の販売不振が懸念された不動産業界。多くの消費者が地盤や耐震性能への不安を払拭できず、不動産購入に二の足を踏み、総崩れになると予想されたが、結果は明暗を分けた。

 大半の不動産関連会社の2011年度第3四半期決算が次々と発表された。マンション事業で新規販売に慎重になった大手財閥系は軒並み減益決算になった。

 これに対し、増収増益となっている会社も目立つ。好業績の会社の特徴は大別すると二つある。

 一つは震災で慎重になり過ぎず、物件を供給し続けた会社だ。代表格は11年4~12月期の売上高が2617億円(前年同期比7.5%増)、営業利益が301億円(同56%増)だった野村不動産。震災が発生して以降、首都圏のマンション業界が休業状態だったなか、積極的に販売攻勢をかけ、ゴールデンウイーク商戦で東京都品川区や千葉市の物件を即日完売させた。

 昨秋は業界に先駆けて、震災で最もイメージを落とした湾岸埋め立て地の高層物件の販売を東京都江東区で開始。競合が消えた市場で存在感を見せた。11年12月末現在、野村不動産の通期の売り上げ予定数に対する進捗率は早くも99.6%に達している。

 もう一つは、戸建て事業を主軸にしている会社だ。たとえば住友林業は売上高6093億円(前年同期比7.1%増)、旭化成も住宅部門は売上高3090億円(同17%増)と伸ばした。

 前期決算に含まれるはずだった昨年3月着工分が震災で今期へずれ込んだ特殊要因による上乗せ分もあるが、底堅い新築需要があることを裏づけている。「土地のある安心感が見直されたこと。マンション供給が減ったうえに、供給されても都心内陸部の高額物件に集中していたため、郊外の一戸建てを選択せざるをえない消費者が増えたこと」(中山登志朗・東京カンテイ上席主任研究員)も追い風だ。

 11年度の大勢がほぼ決したことで、関係者の関心は12年度の市況と各社の対応に移っている。

 首都圏マンションの供給量は、11年度の約4万5000戸に対し、12年度はそれを8000~1万戸上回ると予想されている。湾岸埋め立て地でも供給が再開される。

 戸建てはエコ住宅などの新商品が需要を喚起すると見られている。たとえばパナホームは、建売住宅や住宅用地など分譲事業の売上高を、今期予想480億円から15年度には1000億円にまで増やす計画を立てた。同社が得意とする省エネ機能を強化した分譲住宅を成長市場ととらえた結果だ。

 ただし、“震災モード”は終了するが景気が好転するシナリオは描きにくい。増える供給に対して、それだけの需要が本当にあるのか。震災後の対応や戸建てへの追い風が明暗を分けた今期だが、来期は再び企画力や販売力で競う1年になりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木 豪)

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