2004年に民営化した同社は直近で売上高4237億円、営業利益1010億円と強固な収益力を誇る。東京五輪が迫る中、どんな課題に取り組んでいるかを聞いた。

東京メトロ社長が語る、五輪に向けた設備投資と事故対策Photo by Yoshihisa Wada

──利用者が増加傾向にあるのはなぜですか。

 都心の開発が活発でオフィス需要が堅調、訪日外国人も増えているという三つの理由があります。2016年度の乗客数は724万人で過去最高。今年度も3%弱、増加する見込みです。一方で混雑や遅延が増えていますし、ホームドアの整備も加速させなければいけません。

 混雑緩和策として例えば東西線では、ホームの延伸や拡張、増設の工事を複数駅で行い、並行して列車増発の準備を進めています。

 加えて、車両の位置と速度をより正確に把握する新システムを導入して、スムーズな運行につなげます。22年に丸ノ内線から始めて順次、千代田線などに広げます。

 ホームドアは9線全駅に設置する計画を前倒しして、今年度末で55%の設置率になる見込み。五輪を見据えた安全対策やサービス向上などの設備投資には3年間で4200億円を掛けます。新線建設時でも投資額は年間1000億円程度だったので、それだけ今、質の向上に努めているわけです。

──鉄道以外の、不動産や広告事業の成長が課題です。