「学割」サービスの罠、企業が若者に優しい理由携帯をはじめ銀行口座もクレジットカードも、それになじんでしまえば「今あるものを使えばいいや」という気持ちになり、変更するのが面倒になる。その顧客心理を巧みに利用して、企業は「学割」や「入り口無料」等の手法で攻めている(写真はイメージです)

 テレビをつけると、携帯電話の学割プランのCMがひっきりなしに流れている。学生だけかと思ったら、実は違った。細かい条件はあるが、25歳以下ならドコモもauもソフトバンクも学割プランの対象になる。本物の学生ならもっと安いプランが利用できる場合もあるという。

「学割」は携帯電話だけではない。銀行にも学割口座があった。みずほ銀行は25歳以下の学生(大学院、大学、短大、高専、専門学校に在学中)を対象に、「銀行の学割」サービスを行っている。条件を満たせば、卒業までの間、みずほ銀行・イオン銀行・コンビニのATM手数料が時間外含めて無料(コンビニはイーネット・ローソン・セブン銀行が対象で月4回まで)、 みずほ本支店宛振込手数料も無料とかなりの大盤振る舞いだ。

 今回の記事は巷の学割サービスを紹介するのが目的ではない。なかなか消費しないといわれている若者に、なぜ企業はこんなサービスをするのか。そして、それは若者だけの話ではないという注意喚起をしておきたい。キーワードは「現状維持バイアス」というものだ。

いったん身に付いた習慣を
人はなかなか変えたがらない

 クレジットカードにも、若者向けカードというカテゴリーがある。「三井住友VISAデビュープラスカード」は18歳から25歳が対象。初年度年会費無料(翌年度以降も年1回の利用で無料)でポイント2倍(カード利用の合計が月に1000円ごとに1ポイント、ポイント2倍なので2ポイント付与される)というカードだ。