第2回:もっと子どもが幸せな社会へ。男性育業100%を達成したタカラトミーの大胆な人事改革タカラトミー 人財戦略室DEI推進部 中村真樹部長
「仕事と家庭を両立していける環境づくりをこれからも進めます」

200万円の祝い金と応援手当で男性育業を強く推進!

2024年7月、玩具大手のタカラトミーが人事制度を改定したことがさまざまなメディアに取り上げられ、「異次元の少子化対策」と話題になった。子ども1人の誕生ごとに、なんと200万円を支給する「出産育児祝い金」が新設されたのだ。

「おもちゃを生業にする企業ですから、少子化になんとか抗いたい。まずは私たちが率先し、安心して子どもを生み育てられる環境をつくりたいと考えています。そのために、対外的にもインパクトのある数字を掲げたいと考えました」と、改革のリーダー役を担った同社人財戦略室DEI推進部の中村真樹部長は話す。

併せて試験導入されたのが「休業・短時間勤務応援手当」制度だ。周囲が気持ちよく育業を応援できるよう、当事者の給与の約3割を原資に、業務をカバーする同僚に分配するというものだ。

「育業を推進すると、それをカバーする立場の社員にも広く影響を与えます。だからこそ、出産育児祝い金と応援手当は絶対にセットで導入するのが前提だと思っていました」と中村部長は強調する。ただし「金額や配分方法は手探りなので、納得感があるか、不公平感はないか」を、実際に運用しながら課題を確認しようと、ひとまずトライアルという位置付けでスタートさせたという。

効果はてきめんで、21年に60%だった男性の育業取得率は100%(24年3月末時点)に。祝い金の支給条件を「28日以上育業すること」としたため、制度導入後は全員が28日以上育業した。半年〜1年の長期育業を希望する社員も増えている。さらに喜ばしいことに、出産そのものも増える兆しがあるのだとか。

また、育業の推進によって、チームビルディングやスキルアップなどにも想定以上のポジティブな影響が表れていることにも注目したい。

次ページでは、育業当事者と支援に回った同僚からの、生の声をお届けする。

※ 令和4年度に東京都が発表した育児休業の愛称