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スマートフォンの理想と現実

音楽配信はすでにピークアウト。曲がり角にさしかかったケータイコンテンツ産業の明日はどっちだ

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第18回】 2012年2月23日
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 「ケータイでテレビなんて、見ないよねえ」

 2000年代前半、ちょうどブロードバンドやケータイのデータ通信サービスが花開きつつあり、いわゆる「通信と放送の融合」という言葉が喧伝されはじめた時期。私は三菱総合研究所で通信セクターのコンサルタントとして働いていた。これはその時の言葉である。

 固定と移動体の如何を問わず、通信セクターは総じてイケイケだった。私のところにも、次なるキラーアプリは何か、というお問い合わせをたくさんいただいた。その中の一つに、映像サービスがある。通信事業者に限らず、様々なステイクホルダーが関心を寄せていた。

 もちろんその時は、コンサルタントとして冷静な判断を下していたつもりだ。背景条件や対象市場、採用する技術やエコシステムの構築手法によって、事業性や将来性の有無は分かれる。守秘義務がある以上、答え合わせを公開するわけにはいかないが、予測の精度は(私の手柄というわけではないが)結果としてボチボチだったと思っている。

 ただ、ケータイでの映像サービスに関しては、冒頭で述べたような心境だった。だから、「事業性アリ」と評価できたサービスであっても、一消費者としては「本当に成立するのかな…?」と考えてしまい、どうにも釈然としないことも、正直なくはなかった。

 あれから7-8年が経つ。現状で評価すると、消費者としての考えは見事に外れ、いまや市場は百花繚乱である。その当時から事業化を目指していた方々に「ごめんなさい」と謝らなければならない。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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