「若手がすぐ辞めてしまう」悩ましい定着問題

人手不足と並んで採用現場の大きな課題となっているのが、入社した人材の「定着」だ。苦労して内定を出し、ようやく人員を確保できても、本格的に戦力化する前の段階で早期離職してしまうケースは後を絶たない。

「私たちのクライアント企業でも、これから本格的に活躍するというタイミングで突然退職してしまった事例がありました。企業側が特に驚くのは、その退職の伝え方です。SNSのメッセージで一方的に告げられるケースや、本人からの説明がないまま退職代行サービスから連絡が入るケース、さらには昼休みに職場を出たきりそのまま出社しなくなったケースなども実際に起きています。退職の意向は上司に直接伝えるものと考えてきた世代の感覚からすると、そのあまりの気軽さに困惑して“若者採用疲れ”ともいえるような状況に陥り、どう接すればよいか頭を悩ませる企業もあるようです」と、シニアジョブ代表取締役の中島康恵氏は語る。

もちろん、これらは一部の極端な事例であり、全ての若手に当てはまるわけではない。しかし、企業側と若い世代との間にある感覚のギャップが、入社後のミスマッチや早期離職につながりやすいのは確かだ。早期離職が経営に与えるダメージも軽視できない。例えば年収400万円の人材を紹介手数料40%の人材紹介会社経由で採用した場合、支払う手数料は160万円に上る。その上、OJTや教育に割いた既存社員の時間まで失うことになれば、打撃は小さくない。

だからといって、若い世代の採用を諦めてよいわけではない。
「若い世代を採り続けることは、組織を維持・成長させていく上で不可欠です。育ってきた時代背景が異なれば、働く目的もキャリア観も変わります。企業側はそうした違いを理解した上で、役割の与え方や育成・評価の仕組みを柔軟に見直していかなければなりません」と中島氏は指摘する。

「すぐ辞める若手社員」人事・現場担当者の「若者疲れ」から救ったシニア採用とは「働き方が多様化する中で、採用する側の考え方を見直すことが大切」と語る中島氏

一方で、企業が直面している課題は、そうした社内努力だけで解決できる領域を超えつつある。中島氏は、人手不足の背景にある構造的な問題についてこう続ける。

「どれほど教育方法や就労環境を工夫したとしても、少子化によって若い働き手が減り続けている以上、若年層だけで必要な人員を補うことは難しくなっています。そうした現状を踏まえると、50代、60代まで採用対象を広げることが、もはや『若手の穴埋め』という代替案ではなく、現実的な解決策になっている企業が増えています」

人手不足の解消にとどまらない、シニア人材が組織にもたらす「思いがけない効果」

実際に、採用対象をシニア層まで広げる企業は増加している。その動きは、中島氏が代表を務めるシニア特化型採用サイト「シニアジョブ」の掲載求人件数の推移にも明確に表れている。同社の調査によると、求人件数は2023年12月時点の1万2件から26年3月には7万487件へと拡大し、わずか2年3カ月で7倍以上の急上昇を見せた。

また、職種別求人件数(23年と25年の比較)では、美容師は約18倍、営業職は約5倍、事務職は約4倍に増加している。これらは「シニアジョブ」内の集計データではあるが、シニア人材を求める求人が幅広い職種で着実に広がっていることがうかがえる。

「最初から『シニアを採用しよう』と募集を始める企業ばかりではありません。むしろ若い人をいくら募集しても集まらず、背に腹は代えられない形で『対象年齢を広げてみよう』という試みからスタートするケースが大半です。ところが実際に1人雇用してみると、仕事への真面目さや安定感があり、早期離職のリスクも低い。『これなら十分に即戦力として計算できる』と納得し、次からの採用では積極的にシニアを選ぶようになる。実際の働きぶりが、採用前の先入観を変えていくのです」と中島氏は分析する。

福岡県にある食品加工会社の事例は、そうした変化を象徴する好例だ。製造ラインでは急な欠勤や遅刻が生産計画全体に大きな影響を及ぼす。同社は、シニア人材の「指定された時間に遅れず集まり、担当業務を着実に担う」という基本姿勢を高く評価。結果として、ある工場の製造ライン約20人全体をシニア人材中心の構成へと切り替えたという。

さらに、単なる労働力の補填にとどまらず、思いがけないシナジーをもたらすケースも少なくないと中島氏は語る。

「例えば20代と60代のように大きく年齢が離れていると、かえって職場の人間関係がフラットで風通しの良いものになりやすい傾向があります。年代の近い上司や先輩には言い出しにくい悩みも、大きく年齢の離れたシニアには相談しやすい。60代のシニアが若手の相談役を自然と担うことで、30代・40代の社員がコア業務に集中できるという好循環が生まれている企業もあります」

また、シニア層が長年のキャリアで培ってきた専門的な知見や保有資格を取り込むことで、企業の事業領域が拡張するケースもある。

「ある不動産会社では、建設業界の実務経験を持つシニアが入社したことで、それまで社内になかった建築関連の専門知識や資格が補強されました。自社で対応できる仕事の幅が格段に広がり、単なる欠員補充にとどまらず、会社の新たな強みを生み出した事例です」

ただし、中島氏は「どのようなシニアでも採用すればうまくいくわけではない」とくぎを刺す。採用後に活躍できるか否かは、求職者・企業側双方の意識と姿勢に懸かっているからだ。

「求職者側で言えば、過去の役職や肩書にこだわり続けたり、新しい会社のやり方が受け入れられなかったり、年下の上司からの指示を素直に聞けなかったりする方は、組織になじめず苦しむ傾向があります。過去の実績やプライドを一度横に置き、新しい環境で柔軟に学び直せるかどうかが活躍の分かれ目となります」

一方で、受け入れる企業側の環境づくりも重要だ。

「シニアだからと過剰に特別扱いすると、周囲との心理的な壁ができてしまいます。デジタルツールや社内システムは他の社員と同じように使ってもらう。その上で、個々の体力面や得意分野を見極め、強みが生きる業務を切り出して任せる。『特別扱いをしないこと』と『適性に合った役割の切り出し』を考えられる企業が、シニア採用で成果を上げています」

年齢で一律に判断せず、共通のルールの下で個人の経験と個性が生きる仕事を任せる。それこそが、シニアを有効な戦力へと変える条件だ。

「50歳以上限定」だからミスマッチを避けられる。採用市場の課題を解決する「シニアジョブ」の強み

では実際に、自社に合ったシニア人材をどう見つければよいのだろうか。

一般的な大手求人媒体や転職サイトでは、シニア向けの求人自体が少なく、年齢フィルターによって応募資格から外れたり、求めるスキルや条件のギャップによるミスマッチが生じやすかったりと、効率的な採用活動が進まないケースは多い。こうした「シニアと企業の擦れ違い」を解決するソリューションとして中島氏の会社が運営するのが、シニア人材に特化した求人サイト「シニアジョブ」だ。最大の特徴は、明確に「50歳以上のみ」を対象としている点にある。

「すぐ辞める若手社員」人事・現場担当者の「若者疲れ」から救ったシニア採用とは求人サイト「シニアジョブ」のトップページ

「求人を掲載しているのは、あらかじめ『50歳以上の人材を採用する』という意思を確認できた企業さまのみです。そのため、応募後に年齢を理由に落とされるといった事態が発生しません。60代・70代の求職者が『本当に選考に進めるのか』と驚かれることもあります。企業側にとっても、最初から意欲のあるシニア層に絞ってアプローチできるため、無駄な選考の手間やコストを削減できます」

さらに、同社が約10年間にわたってシニア専門の就職・転職支援に特化してきた中で蓄積されたノウハウが、プラットフォームの仕組みに反映されている。

「企業側は『求職者が持つ過去の経験や資格が、現場で具体的にどう生かせるか』という即戦力性を重視します。一方で求職者側は『定年後も何歳まで働き続けられるのか』『同年代の社員は実際にどのくらい在籍しているのか』といった働く環境を気にされます。双方の本音や求めるニーズを把握しているからこそ、双方にとって納得感のある求人情報を作成できるのです」

「シニアジョブ」の求人情報には、基本的な仕事内容や給与条件だけでなく、定年制度の有無や再雇用後の上限年齢、さらには「50代・60代・70代以上の年代別在籍人数」といった具体的なデータまで記載される。求職者は「ここなら自分と同世代の仲間が活躍している」と安心感を持って応募することができ、企業側も自社では気付きにくい「シニアから見た自社の魅力」をアピールすることが可能になる。

加えて、初めてシニア採用に挑戦する企業がリスクなく一歩を踏み出せるように、料金体系にも工夫を凝らしている。初期費用・掲載費用は一切かからず、採用決定時に初めて費用が発生する「完全成功報酬型」を採用。求人掲載数やスカウトメールの送信数にも制限を設けていないため、コストを抑えながらじっくりと候補者を見極めることができるのだ。

「シニアジョブ」に無料で求人掲載する

こうしたシニア専門の支援を通じて、中島氏が見据えるのは個々の採用成功にとどまらない、より大きな変化だ。

「日本は今、世界に先駆けて超高齢社会を迎えています。しかしこれを単に衰退として捉えるのではなく、年齢にかかわらず意欲と能力のある人が力を発揮できる新しい労働構造をつくる好機と捉えるべきです。私たちは『シニア採用が当たり前に行われる社会』を実現し、プラットフォームを通じて日本経済の成長を支えていきたいと考えています」

「すぐ辞める若手社員」人事・現場担当者の「若者疲れ」から救ったシニア採用とは
●問い合わせ先
株式会社シニアジョブ
〒169-0072 東京都新宿区大久保2-5-22 セキサクビル8F
https://seniorjob.jp/